一般質問 令和3年02月25日世田谷区議会第1回定例会

2021/2/25

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質問

生活困窮世帯等に対する学習・生活支援の拠点事業について

 区は、2018年子どもの生活実態調査を行い、2020年子どもの貧困対策計画を策定しました。
 この間、我が党は、子どもの貧困対策として、経済的支援と学習支援の充実を求めてきました。
 今般、区は、世田谷区に遺贈された一軒家を活用し中学生を対象にした学習支援、生活支援、相談事業も行う拠点事業に取り組みます。

 1)中高生の支援を行う方から、「普段から夕食は一人でコンビニ弁当を食べている。『餌』のようだと感じる。」という子どもたちの声を聞いており食を伴う夜の居場所が必要」と伺ってきました。

 さらにコロナ禍により、保護者が非正規の雇い止めなど、離職を強いられる状況が進んでおり、こうした経済的に脆弱な家庭の子どもたちへの影響は大きい。進学の意向はあるが塾も進学も諦める事になるなどの声を伺っています。
 今般の拠点事業は、中学生に対する進学や就職に向けた学習支援、家庭的な雰囲気の中で食事を一緒に作り、食べ、入浴するなど生活自立に向けた支援を行ないます。中学時代に社会に支えられる経験により、今後困難があったとしても孤立せず助けを求めながら解決していくなど生きる力につながると考えます。今回の施策は実態からも、支援現場の声からも必要性が明らかであり評価いたします。
 この事業は、子どもの生活事態調査結果から支援が必要な130人を対象とし、1施設40人から50人づつ計3箇所での拠点展開を行うとしています。
上北沢の拠点事業では、延床約100m²に、40人を上限に登録し1日20人 が利用する計画であり、十分なスペースが確保できているのか不安があります。

 Q①、事業の目的からも子どもが安心できるゆったりした環境が必要です。利用の状況を見て、早期に2つ目の拠点展開の検討を求めます。区の見解を伺います。

<知久 子ども・若者部長 答弁>

 生活困窮世帯等の子どもの学習 生活支援の拠点事業では、子どもたちは基本的には好きな曜日、 時間に出入りし、個別学習支援や自由時間、調理の手伝い等をして過ごすことから、 その時間帯によって子どもの人数は様々に変わってくるものと考えております。
 登録は約40名を上限としますが、8月の事業開始以降、徐々に利用人数が増えていくと想定しており、実際の利用状況を踏まえながら、新型コロナの感染予防対策も行い、 子どもたちがゆったりと安心して過ごせる環境となるよう運営してまいります。
 今後、生活困窮世帯の増加が懸念されているところであり、 新たな貧困の連鎖を生まないためにも、 本事業の利用状況等を踏まえ、さらに2か所程度の段階的な拡充に向け、展開の時期も含め検討してまいります。

たかじょう訓子 議員

2)また、区は、中学卒業以降のサポートも検討するとしています。
 東京都の子どもの貧困調査では、小中学校の子どもの世帯と比べ高校生の世帯での生活困難層の割合が高くなっています。区内でも、高校生がアルバイトをして家計を支える状況があると伺っています。
 中学校を卒業した後でも、必要な支援に繋げられるようアフターフォローは必要です。

 Q②支援が必要な子どもにどのようにサポートしていくのか伺います。また、第3回定例会でも求めましたが、継続的な見守りの充実のために、区内の若者の支援団体との更なる連携を求めます。見解を伺います。

<知久 子ども・若者部長 答弁>

 本事業は、高校進学とともに子どもたちと区との接点が薄まることから、その手前の中学在学中に学習や生活の習慣を身につけてもらい、卒業後の生活の安定や高校中退の防止につなげる必要があること等から、中学生を対象としています。
 利用中には、 児童館や青少年交流センターといった既存の取り組みや子ども食堂など地域による支援の担い手、若者支援団体等とも連携を図り、学習習慣や生活習慣等に課題を抱える中学生一人ひとりにしっかりと寄り添い、さらにその保護者が抱える子どもの将来への悩みにも対応してまいります。
 利用する子どもが卒業した後には、高校進学後等の定期的な状況把握や必要な情報提供などアフターフオローを行います。 子どもたちがここでの経験や築いた関係性などのつながりも活かし、必要なと、きには自ら支援を求め、地域の支援を受けながら成長していけるよう、そのきっかけも作ってまいります。

35人学級の実現に向けて

 2、35人学級の実現に向けて伺います。

 国は来年度から小学校での35人学級を5年かけて順次実施することを閣議決定しました。先日、菅首相は中学校での実施検討に言及しました。小中学校全学年での35人学級の速やかな実現に向け、区としても積極的な対応を求めます。

 1)Q①、小学校での35人学級の教室確保のシミュレーションでは、令和7年までに約100教室の確保が必要であり、区財政にも大きな負担となります。区として国や都に対し必要な財源を求めていただきたい。見解を伺います。

<浅野 教育総務部長 答弁>

 先般、国において、公立義務教育諸学校の学級編成及び戦数職員定数の標準に関する法律の改正により、小学校の学級編成の標準を5年かけて段階的に35人に引き下げることが示されました。
 こうした国の動向を踏まえ、令和2年12月時点における児童推計に基づく令和8年度までのクラス数のシミュレーションを実施した結果、小学校39校において、35人学級に伴いクラス数の増加が見込まれております。
 その内、13校は、令和7年度までの期間に大規模な改修設計·エ事が必要となることからも、厳しい財政状況を踏まえながら、35人学級の実施に向け、関係所管と連携して取り組んでまいります。
 なお、国からは、令和3年度は、改正に伴う公立学校施設整備費の新たな補助制度の創設等を予定していないと聞いておりますが、今後、特別区長会などを通じ、国や都に対して、財政措置の拡充などを要望してまいります。

たかじょう訓子 議員

2)Q②、教室確保については、特別教室の転用が行われますが、大規模校の中には、転用可能な特別教室不足の状況が見られます。区有地などの優先的活用などを含め検討を進めていただきたい。区として今後教室確保にどう取り組むのか。伺います。

<浅野 教育総務部長 答弁>

 区におきましては、地域によって児童数の増加が見込まれるため、対応が必要な小学校については、これまでに、普通教室を確保する改修や増改築、また、指定校変更の制限を行ってきたところでございます。
 35人学級に向けた普通教室の確保につきましては、令和7年度までの短期間に整備する必要があることからも、多目的室やその他転用可能な部屋を普通教室に転用する改修工事を基本に整備してまいります。
 今後も、将来の児童推計に注視するとともに、学校周辺の土地状況などの情報収集に努め、学校ごとの状況を踏まえながら、教室の確保に向けて対応してまいります。

たかじょう訓子 議員

 3)35人学級実現に向けた教員確保についてです。
 35人学級が進むごとに教員の確保が課題となります。教員の多忙化を解消し、魅力ある職場を目指すため区として取り組む必要があります。 
 学校現場からは、長時間過密労働改善に向けて、労働安全衛生法に基づく具体的措置を講ずることを求め、冬季休業中の学校閉庁日を設定すること、学び舎の合同会議の削減、祭り・フェスタなど地域行事への参加強制をやめることなどの要望があります。
 今年度は、学校終業後の留守番電話が導入されたことにより、教員の負担軽減に繋がったと伺っています。
 こうした見直しで教員に余裕ができることにより、子どもと向き合う時間が増えることに繋がります。

 Q③現場の声を聞き、更なる見直しを求めます。見解を伺います。

<池田 教育政策部長 答弁>

 35人学級の実現に向けては教員の増員が必要となりますが、教員の採用倍率は低下傾向にあり、学校教育に必要な優秀な人材を確保していくため教員の職をより魅力あるものと感じてもらう必要があると考えており、教員の多忙化の解消に取り組んでいく必要があるものと認識しております。
 教育委員会といたしましては、 これまで、学校現場の声も聞きながら、教員の業務を支援するスクール·サポート·スタッフの増員や、研修や会議のオンライン化、 留守番電話の整備、 学校行事の精選、 学習指導計画の見直しなどに取り組んでまいりましたが、現在整備を進めている学校のICT環境の整備を教員の多忙化解消のためにも活用していくことができるよう検討してまいります。

ふじみ荘代替策、新たな高齢者施策について

 3、次にふじみ荘代替策、新たな高齢者施策について伺います。

 利用者の理解が得られないまま、今年3月末で、ふじみ荘は廃止となります。
1)4月からの代替施設として示された千歳温水プール、大蔵運動場での見学会や利用者との懇談会が開催され、利用者からは、売店の設置、既存のレストランの価格設定を低くして欲しい、高齢者向けのメニューを作って欲しい、駐車場料金を無料にできないかなどの声が寄せられました。

 Q①-A特に、千歳温水プールの浴場に関して、浴槽の深さの調節、段をつけてほしい、滑りにくい床にしてほしいなど利用者の安全面に関わる事項について早急な改善を求めます。見解を伺います。

 また、ふじみ荘では看護師が配置されてます。先日、看護師の方からお話を伺いました。来場する方の顔色や目の表情などから利用者のその日の健康状況を見て、必要に応じた対応をしています。
 こうした中で、緊急搬送されるケースもあり、令和元年度は8件もあったと伺いました。命に関わる判断を速やかに行うなど看護師の方が果たしている役割は大きいと思います。

 Q①-B今後、千歳温水プールでの4月からの看護師配置が必要と考えます。早急な対応を求めます。区の認識を伺います。

<内田 スポーツ推進部長 答弁>

 千歳温水プールでは、指定管理者であるスポーツ振興財団が、健康測定会やフィットネスなど高齢者向けの健康増進事業を実施しております。
 駐車場やレストランの料金見直しについては、施設全体の運営や他の区立施設との均衡、レストラン事業者の経営など課題があります。 一方、レストランメニューについては、区として、レストラン事業者に状況を伝え、要望したところです。 
 4階の健康運動室については、 理学療法士の方に現場で、 浴室内の手摺りの増設など具体的アドバイスを頂き、改修に向けた調整を進めております。
 加えて、健康運動室においては、浴室内への緊急呼び出しボタンの設置や、常駐する複数の受付スタッフが30分ごとに浴室を巡回するなどの安全対策を行っているほか、血圧測定機器を設置しております。受付時にスタッフが利用者の顔色を確認し、気になる際は声掛けをするなど、日頃から健康面にも配慮した運営・安全対策を行っていることから、直ちに看護師の配置することは考えておりません。
 今後も引き続き、安全で安心して施設をご利用いただけるよう、利用者の声を聞きながら配置のあり方を検討してまいります。
 また、施設を利用される方々にとって、より魅力のある施設となるよう、4月以降新たに利用される方も含めたアンケート、を実施するなど、指定管理者とともにニーズの把握や運営の改善に努めてまいります。

たかじょう訓子 議員

2)ふじみ荘廃止による浴場機能について伺います。

・ふじみ荘がある上用賀には公衆浴場はなく、近隣では用賀に1軒あるのみ。現状、ふじみ荘利用者の浴場機能については補完されていません。
Q②、地域の浴場機能確保のため、代替施設へのバスの便を工夫する必要があります。区の見解を伺います。

<松本 生活・文化政策部長 答弁>

 老人休養ホームふじみ荘の閉館に伴いまして、ふじみ荘利用者の皆様からは、千歳温水プールの健康運動室にあります浴室の環境整備や、 送迎バスの確保などのご意見をいただいており、スポーツ推進部や送迎バスを運行する障害福祉部など、関係部署と連携し利用環境向上の準備を進めております。
 送迎バスについては、障害者施設への送迎バスの有効活用により、 千歳温水プールや大蔵第二運動場への送迎ルートの確保を図ることとしておりますが、用賀駅などを含む玉川地域をはじめ、多くの方がご利用いただけるよう区内各地からのルートを作成し、運行に向けた詰めの作業を行っております。
 引き続き、高齢者の地域参加促進に向け、ふじみ荘利用者が安心して千歳温水プール等の利用ができるよう関係部署との調整を進めてまいります。

たかじょう訓子 議員

3)高齢者が一人で気軽に立ち寄れる居場所の確保について伺います。

Q③、今般示された高齢者の地域参加促進施策では、気軽に立ち寄れる居場所の開発を行うとしています。居場所づくりについては当事者である高齢者の参加と協働で進めることを求めます。見解を伺います。

<松本 生活・文化部長 答弁>

 区では、高齢者の社会的孤立の防止や健康寿命の延伸、さらにはコロナ禍におけるフレイル予防に向け、居場所づくり、健康づくりなど5つのプロジェクトによる新たな高齢者の地域参加促進施策を推進しております。
 取組みにあたっては、既にふじみ荘利用者を対象に懇談会を開催し、ご意見を頂戴したところです。また、高齢者クラブや生涯現役ネットワークなどの関係団体、ひだまり友遊会館利用者などとの意見交換、 介護予防講座等の利用者を対象とするアンケートなども予定しているところです。
 さらに、一人で気軽に寛げる場づくりについては、地域包括ケアの地区での取組みが数多くあることから、課題である常時居場所となる場の確保など、高齢者と接しているあんしんすこやかセンターや社会福祉協議会等との意見交換を行って参ります。
 これらの取組みとともに、個別の施策実施の際にも参加者や利用者の声を伺同う機会を設けながら、 参加と協働の主旨を踏まえ、 高齢者の生活実態やニーズに合致する施策となるよう丁寧に取り組んでまいります。

烏山地域の都営住宅建て替えに伴う創出用地について

 4、最後に、烏山地域の都営住宅建て替えに伴う創出用地について伺います。

1)区は都に対し北烏山2丁目都営住宅の約1000m2の創出用地では、「福祉施設の整備について別途協議」を求め、都からは「別途協議する」との回答を平成30年3月に得ています。

Q①、すでに3年が経過しようとしています。都との協議の経緯、進捗状況、庁内の協議に向けた検討の状況について伺います。

<渋田 保健福祉政策部長 答弁>

 北鳥山二丁目の都営鳥山アパート建替事業につきましては、建替えに伴い、公益的施設等の整備に活用することができる用地が約1,000㎡創出される予定でございます。
 区では建替計画に対して、平成29年6月に「東京都が行う公共住宅の建設に関する地域開発要綱」に基づき、創出用地に「子育て支援施設や高齢者、障害者の福祉施設」の整備を要望し、平成30年3月に都からは別途協識する旨の回答を得ております。
 創出用地の用途は東京都が決定することになりますが、区の要望により福祉施設整備として活用する場合には、東京都福祉保健局の「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」として実施することになります。
 用地が創出される時期は令和4年度以降になると見込まれておりますので、今後の東京都の協識につきましては、 建替工事等の進捗状況に合わせて調整を進めてまいります。

たかじょう訓子 議員

2)Q②、烏山地域は、松沢病院・烏山病院があるという地域特性があり精神障害者のグループホームなどのニーズがあると伺っています。また、この間、地域要望の高い地域密着型特養ホームの整備を求めてきました。こうした地域のニーズを踏まえた整備を求めます。見解を伺います。

<渋田 保健福祉政策部長 答弁>

 区では、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画や障害福祉計画、子ども計画の各計画に基づき、地域や地区の福祉ニーズ等を踏まえて福祉施設整備を進めております。
 烏山地区の高齢者施設としては、可能な限り住み慣れた地域で在宅生活が継続できるよう、在宅の要介護高齢者を支援する施設や、今後の高齢化の状況を踏まえた認知症高齢者グループホーム等の需要が見込まれます。
 また、障害者施設に関しましては、区は令和2年9月に「確害者施設整備等に保る基本方針」を策定し、生活介護等の通所施設やグループホーム、医療的ケアを含む重度障害者対応旅設などの整備を都営住宅等跡地活用等により、重点的に行っていくとしております。
 都営烏山アパートの創出用地につきましては、今後も東京都にる施設整備への活用を要望していくとともに、用地の規模などの条件と地域性などを考慮し、整備する福祉施設の内容を検討してまいります。

たかじょう訓子 議員

3)Q③、また、八幡山3丁目の都営住宅の建て替え計画における創出用地について、北烏山2丁目と同様に福祉施設での協議を行うと聞いています。地域ニーズの高い地域密着型特養ホームや精神障害者のグループホームなどの複合施設の整備を求めます。見解を伺います。

<渋田 保健福祉政策部長 答弁>

 都営八幡山アパート建替事業につきましても、区は平成27年1月に東京都の地域開発要網に基づき、福祉施設の整備を要望し、同年3月に別途協議する旨の回答を得ております。
 創出用地の場所や規模、 時期等が未定となっておりますので、 建替工事等の進捗状況に合わせて、 東京都との協議に向けた調整を進めてまいります。

再質問

千歳温水プールへの看護師配置について、入浴中の事故などは利用者の命や健康に関わることでありふじみ荘と同様に医療の専門職である看護師の配置が必要です。区長に見解を伺います。

<区長 答弁>

 再質問にお答えいたします。
千歳温水プールにおいては、これまでも施設における事故等に備え、ハードソフト両面で安全対策に取り組んでおります。4階の浴室につきましても、ただいまスポーツ推進部長が答弁した通り、安全策、改修の準備の方を進めております。ふじみ荘を利用されていた方の千歳温水プール健康運動室の利用にあたっては、指定管理者による取り組みに加えて、社会福祉協議会によるプログラムを提供するなど、これまでの利用者と新たに利用され始める方が、互いに利用しやすい環境を整えるよう関係所管部に指示して参りました。
 ご提案の看護師の配置については予算や人員確保の課題はあるものの、ご利用される高齢者の方の安全安心という観点では、検討すべきものと考えております。
今後も引き続き、この施設を安心してご利用いただけるよう、利用者の声を聞きながら、配置のあり方の検討を所管部に指示をして参ります。

たかじょう訓子 議員

この間、ふじみ荘の看護師の方にお話を伺ってきて
看護師がいてくださることが利用者の安心につながっている。何かあれば、ご相談ができると喜ばれていたと思います。ぜひ検討をいただきたい。以上で質問を終わります。

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