予算特別委員会 令和5年03月23日(補充質疑)

2023/03/23

質問項目

 

質問

危機管理監について

中里光夫 委員

 それでは、日本共産党の質問を始めます。

 最初に、先ほどもありましたけれども、危機管理監について質問します。

 危機管理監についての議論がありますけれども、この危機管理監とはどのような役職で、どのような役割を持たせるんでしょうか。

大塚 危機管理部長

 危機管理監の設置でございますけれども、区長を中心とした災害対策本部機能のさらなる強化を目指すものでございます。危機管理監は、平時は職員の訓練や研修、地域の防災力の向上に取り組み、発災時におきましては、具体的には災害発生場所の地理、水理などに応じた適切な応急対応のための情報の収集と取捨選択、医療救護が劣勢である場合における対応策や代替策の立案を行う、また、避難指示の発令、救助要請の発出、被害軽減のために必要な報道発表、区民周知などについて区長の判断を補佐する役割を担うことを想定しております。

中里光夫 委員

 危機管理監に自衛隊のOBがいいという議論がありますけれども、震災などのときに自衛隊は独立した部隊として物資を輸送したり、炊き出しや風呂の支援などを行っています。自治体からは、被害や避難などの状況を正確につかんで、自衛隊には適切な要請を行うことが重要だというふうに思います。

 自衛隊との関係は窓口がしっかりしていればよくて、自治体として被害状況や避難の状況をつかむ、自治体自身がそれをつかむことが重要だと考えます。危機管理監が災害時の危機対応に必要な役職だということであるならば、区としての災害時の役割に適した人物を選ぶ必要があると思います。区の危機管理は、日常的に水害や火災に備えた防災施設、そして、消防団をはじめとした人のつながりを含めて消防との関係が深いと思います。

 また、消防は自治体の組織であり、自治体の事情をより正確につかめるのではないでしょうか。災害時の危機管理を考えれば、消防関係の経験者がふさわしいというふうに考えるのが自然だと思いますが、区の見解はいかがでしょうか。

保坂 区長

 危機管理監にふさわしい人材として、委員お話しの消防の経験者のほか、議会各会派からは、例えば、退職自衛官の登用などの御意見もいただいているところでございます。現在、令和六年四月からの危機管理監の任用を目指しておりまして、当区で想定される災害リスクや災害対応の動きなどを十分踏まえた上で、危機管理監として、この世田谷区にふさわしい人材の要件など、早急に要件を絞り固めるよう、担当所管に指示しているところであります。それらを総合して、私のほうで、区長のほうで判断をしていきたいというふうに考えております。

中里光夫 委員

 ふさわしい人材の要件などを検討するということですけれども、常識的な判断をすることを期待しています。

 危機管理としては、区としてミサイル攻撃に備えたシェルターを整備せよと、こんな議論もありました。政府の大軍拡で敵基地攻撃能力を持ち、ミサイル配備を進めながら自衛隊の基地の強靱化と称して核兵器や生物兵器に備えるシェルターを整備すると、こんな話が国会で問題になっています。まさに戦争準備の動きだというふうに思います。

 自衛隊の強靱化の対象には、区内の三宿駐屯地や用賀駐屯地も含まれています。国は、これらの基地で核攻撃に備えた準備を進めているということですが、もしここが核攻撃される、戦争になる、そんな事態になったら周辺の住民はどうなるのかと、国はそのことを一体考えているのか。地元の自治体として国に明確な説明を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

大塚 危機管理部長

 現在、国はミサイル攻撃等の爆風等からの直接の被害を軽減するための緊急一時避難施設の指定を推進しておりまして、区といたしましてもこの指定を推進すべく、指定に向けた調整等に取り組んでいるところです。

 緊急一時避難施設の指定の推進に伴いまして、三宿や用賀の駐屯地が攻撃対象となるおそれや周辺住民の安全への影響などについての国からの情報提供や説明は、これまでございません。また、本年一月に北関東防衛局より国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画についての説明はあったものの、これに伴う駐屯地の体制等の変更などの情報は入ってきておりません。これらのことから、三宿と用賀の駐屯地を含めまして、区内において武力攻撃の標的となる特別なおそれがある地域、地区はないものとの認識です。

 しかしながら、区民の安全を守るために必要な情報について区は常に把握し、的確な対応を取る必要がありますことから、自衛隊や国と引き続き密接に連携を図りまして、緊急一時避難施設の指定に向けた整備などの機会を通じまして情報の収集に努めてまいります。

中里光夫 委員

 情報の収集に努めるということですが、一切情報はない、そんな攻撃を受けるということはないという認識だということですが、国は、三宿の基地を核攻撃にも耐えられるものにする、そういうのを具体的に進めているわけですから、これはしっかりと国に説明を求めるべきだというふうに思います。

 区議会では、区としてシェルターなどの整備を求める、こんな議論もありました。これは国の動きと併せて自治体でも戦争準備を進めようという、そういう議論じゃないかと思います。しかし、戦争になれば、そのようなもので区民を守ることはできない。

 いずれにしても、多くの区民が避難できる地下シェルターなど無理な話だと思います。ごく少人数が避難できる施設、そんなものを造ったとしても、一体何のための施設なのか。誰か特定の人物を守る、そういう施設を造るとでも言うのかと、全く意味がないと思います。

 そもそも、戦争の準備を進め、危機感をあおる、これはやめるべきです。平和をつくることに力を割くべきです。政府に対し、平和外交に力を入れるよう求めるべきですし、自治体としては諸外国との交流を深め、市民レベルでの友好関係を深めることこそ、平和をつくる道じゃないでしょうか。特に中国や韓国などの周辺国との友好関係を強める、そういう取組が重要だと思います。平和をつくるために何が必要か、区長の考えを伺います。

保坂 区長

 昨今、北朝鮮によるミサイル発射が実に頻繁に行われる中、区民の安全と安心を守るために区は緊急一時避難施設の指定の推進に取り組んでいるところであります。区民の命を守るという点は、自治体の責務だと考えます。

 しかしながら、これらの取組が周辺国への対立感情をあおり、再び戦争によって区民に惨禍をもたらすことにつながってはならず、核兵器廃絶や平和の重要性について、平和都市宣言に基づいた情報発信にも積極的に取り組んでいかなければならないと思っております。

 ロシア軍のウクライナ侵攻によって世界情勢が緊張高まっておりまして、多くの国や地域で、これまでにない防衛力増強の動きが出てきております。このような中、我が国の平和を守るためには周辺国との友好関係をさらに強化し、国際社会の一員として、強い意志を持って、武力でなく外交による平和的解決を求めていかなければならないと考えています。

 全世界の人々がひとしく平和のうちに生存する権利を有するという憲法の理念を貫くことが区民の安全と安心を守る道であり、そのためにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

中里光夫 委員

 世田谷からしっかりと平和を守るために取り組んでいただきたいと思います。

ジェンダー平等について

中里光夫 委員

 では、次の質問、ジェンダー平等について質問します。

 ジェンダー平等を進めていく上で最も遅れているのが、意思決定の場に女性が少ないという問題です。あらゆる政策にジェンダーの視点を貫くジェンダー主流化を進めることが重要です。九十年代以降、世界はジェンダー主流化を合い言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきました。ジェンダー主流化は、あらゆる分野で計画、法律、政策などをジェンダーの視点で捉え直し、全ての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくということです。

 日本共産党は、二〇三〇年までに政策・意思決定の構成を男女半々にという目標を掲げ、行政機関や管理職、審議会などへの男女の平等な参加を進めるという政策を掲げています。世田谷区でも、ぜひこれを実施していくよう強く求めていくものです。

 区は、未来つながるプランで掲げたSDGsの推進に、人権の尊重とジェンダー主流化の視点を持ちながら進めるという表明も議会でしております。非常に重要な点だと思います。世田谷区の政策づくりの現場でのジェンダー主流化が現在どのような到達点なのか、区の幹部職の女性比率はどのような目標で取り組み、現在の到達はどうなっているのか、伺います。

池田 総務部長

 区の管理職における女性の割合につきましては、令和四年に策定いたしました世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画におきまして、令和八年度までに三〇%以上とすることを目標としております。

 一方、令和四年四月一日時点の区の管理職に占める女性の割合は昨年度より一・九ポイント上昇したものの二〇・八%となり、現時点では到達してございません。

中里光夫 委員

 この進み具合では全然足りないということだと思います。女性幹部職員が目標より低い到達である現状を区はどのように評価し、どのような課題があると考えますか。

池田 総務部長

 区民の約半数は女性であり、区の政策立案や区民サービスの改善などにおいて女性職員の意見を反映していくことが重要であり、そのためにも管理・監督職における女性の割合を高めていく必要があると認識してございます。現在、係長職に占める女性の割合は約四割、副係長に占める女性の割合は約六割となっており、管理職における女性の割合の向上が課題です。

 総務部では、今年度、女性の部長職、課長職、係長職を対象に意見交換を行い、管理職に向けたハードルなどについて生の声を聞く機会を設けました。意見交換会では、子育てや介護の事情があるときは土日や夜間の勤務の対象外とすることを検討してはどうかといった声や、管理職の仕事、家事、育児などを両立できるかといった不安の声も聞かれ、管理職としての働き方の改善が課題であると認識してございます。

中里光夫 委員

 幹部職が生の声でいろいろな課題を出し合うというのは非常にいい取組だと思います。そこで上げられた課題を解決して、ジェンダーに配慮した女性幹部職員の働きやすい環境を整えることが女性幹部職員を増やしていくことにつながり、さらに女性に限らず、管理職を目指す職員の増加につながるんじゃないでしょうか。区の見解を伺います。

池田 総務部長

 性別や役職を問わず全ての職員が働きやすい環境を整えることは、ワーク・ライフ・バランスを推進する観点からも重要であり、こうした取組は女性を含めて、より責任のある職への昇任意欲につながるものと認識してございます。

 現時点では、特に管理・監督職において重点的に取り組む必要があると考え、育児や介護等の事情のある管理・監督職について、土日の勤務などで配慮を行うよう各部に依頼したところでございます。

 引き続き、女性を含む全ての職員が働きやすい環境の整備や仕事に対する職員の意識改革を促すことなどを通じて、職員一人一人が生き生きと働き、区民サービスの向上に意欲的に取り組む組織づくりに取り組んでまいります。

中里光夫 委員

 世田谷区の政策づくりの現場でのジェンダー主流化の到達点として、区の女性幹部職員の状況を確認してきました。ジェンダー主流化は、あらゆる分野で計画、法律、政策などジェンダーの視点で捉え直し、全ての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくと、そのための意思決定の場の女性を増やす、ここがもう決定的な課題と。

 女性が働きやすい環境をつくることとともに、やりがいを持って働ける環境を整えることが重要です。区の職員のやりがいは、何といっても区民の役に立つ政策を実行し、区民に歓迎され、喜ばれることだと思います。そうした仕事を進めていくためにも参加と協働、住民自治を推進し、区民と共に、区民のための仕事を進めていくことが重要だと考えます。

 また、区の職員に限らず審議会の構成も重要です。区政のあらゆる分野をジェンダーの視点で捉え直すジェンダー主流化、この促進を求めていきます。区自身のジェンダー主流化の促進について、区長の考えを伺います。

保坂 区長

 区自身のジェンダー主流化、大変大事な視点だと思います。価値観や生き方が多様化し、従来からの価値観が大きく変わる時代になりながらも、男、女であるからといったようなジェンダーを前提とした価値判断、これが社会の様々な分野の考え方の土台になお残っており、自由な意思に基づく参加と協働を制約する要因にもなっていると考えております。

 女性がこれまでの制約を取り除く、より活発に社会の主軸を担えるジェンダー主流化を図っていくことが重要だと考えておりますし、よりよい個人の生き方や団体の活動を選択でき、誰一人として取り残されることのない地域社会に進化させていきたいと考えております。

 そのため、庁内外を問わず、女性の政策方針決定過程への参画をはじめ、社会のあらゆる分野での活動に女性が参加する機会を確保することが重要であり、ジェンダー主流化と参加と協働を世田谷区において、また、世田谷区庁内においても一体的に進めることで住民自治を一層推進し、持続可能な豊かな地域社会を構築してまいります。

中里光夫 委員

 それでは、質問者を替わります。

 日本共産党世田谷区議団は、令和五年度世田谷区一般会計予算、世田谷区介護保険事業会計予算、学校給食費会計予算に賛成し、令和五年度世田谷区国民健康保険事業会計予算、世田谷区後期高齢者医療会計予算に反対します。

 なお、意見は本会議場で申し述べます。

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