予算特別委員会 令和5年3月07日(総括質疑)

2023/03/07

質問項目

 

質問

区の財政運営について

中里光夫 委員

 それでは、日本共産党の総括質疑を始めます。

 まず、区の財政運営について質問をしていきたいと思います。

 長引くコロナの影響であるとか、エネルギー価格の高騰、食料品をはじめ物価高騰、区民生活、本当に厳しい状況に今なっていると思います。こうした非常に暮らしが厳しい中、一方で、区は、基金に二百四十億円という昨年の二倍の額の積立てを行いました。

 区はこの間、コロナ対策として、大規模検査であったり、ワクチン接種、保健所体制の強化、オンライン診療、医療機関への支援、こういった取組を様々行ってきましたし、ひとり親への支援をはじめとした生活の支援もいろんなメニューをたくさん行ってきました。それから、せたがやPayや伴走型支援など事業者に対する支援も行ってきた。様々なこのコロナ対策も行ってきました。十分とは言わないですけれども、コロナの中で、区民の命や暮らしを守る取組、これをたくさん進めてきたんですが、では、なぜ昨年の二倍もの金額を基金に積み上げることになったのか。

 基金に積み上げること自体は悪いことではないと思います。区民のために計画的に活用することであったり、緊急のときの備えは必要なことです。しかしなぜ、去年の二倍の金額なのか、その理由について説明してください。

加賀谷 政策経営部長

 予算編成の基本的な考え方、それから中期財政見通しでもお示しさせていただいておりますけれども、子ども・子育て関連施策、区立小中学校の改築改修、社会保障関連経費、大規模自然災害の備えなど、区の行政需要は今後増加していくことが見込まれてございます。これらの将来需要、行政需要に対しまして、全体の財政運営を行いながら中長期的な視点で必要な財源を確保していくというのが基本的なスタンスで重要だと認識しております。

 こうした認識から、今般、令和四年度第七次補正予算で、令和四年度の事業進捗の変更等による経費の増減に対応しながら、特別区税、特別区交付金の増収分、それから例年より多く生じました令和三年度の決算繰越金の一部などを財源といたしまして、今般、総額で二百四十六億円の基金の積立てを行ったものでございます。

中里光夫 委員

 令和三年度の繰越金が、補正財源として確保されていましたけれども結局それを使い切ることなく、財源的には非常に余裕がある状態であったと。それに対して、今後の財政需要なども見て必要な財源確保ということでやったということですが、この二百四十億円のうちの約半分の百三十億円が学校改築のための基金の積立てとなっています。今回の使い残しの資金の多くを学校改築に充てるということになると思います。学校施設の必要な改築時期が集中しているということも分かりますし、その備えは必要だと思います。

 それから、学校施設については、この間、様々議論してきました。三十五人学級化に対する教室不足、その対応、それからBOPの活動場所が非常に不足しているという問題、バリアフリー化を進めなければならないということも私たちは指摘してきました。それから、ZEB化、気候危機対策としての環境性能向上、こういった課題も多くて、これらの対策のためのコストも当然見ていかなければいけないと思います。

 また、地域行政を推進する上で、地域コミュニティーの発展、その活動場所の確保、そういった観点から、学校施設を地域に開いていく、こういったことも議論され、そうした取組も今進んでいます。学校施設、本当に様々な課題がある。この学校施設整備の今後の見通し、そして、そこに係る経費と基金との関係、これについて説明をお願いします。

加賀谷 政策経営部長

 区立小中学校につきまして、今後、順次耐用年数六十五年を迎えます。今後の改築のピークとなります令和十八年度までの財源につきまして、一定の基金、それから起債を見込むということで、今般、義務教育施設整備基金百三十億円を積み立てたところでございます。

 この学校施設等、将来世代にわたって利用される大規模な投資的経費でございます。世代間負担の公平性ですとか、他の区民サービスへの影響に配慮するという観点からも、基金とそれから起債の計画的な活用によりまして、単年度の一般財源の影響を平準化していくということが基本となります。

 学校改築改修につきまして、原則として、国庫補助事業に係る、いわゆる地方負担額の九〇%、それから国庫補助事業以外の部分、こちらについては、事業費の七五%を上限に起債の発行が可能でございます。基金については、国庫補助金、起債を除く一般財源部分に対しまして一定の活用を図っていくということを予定しております。今後は中期財政見通しの下、基金と特別区債の活用を含めた財政シミュレーションを行いながら、適時議会にもお示しをしていきたいと考えております。

中里光夫 委員

 基金と起債の計画的な活用で、単年度の一般財源への影響を抑えていくというお話でした。また、基金を見てみますと、用途の定めのない財調基金のほうも約四百億円積み上がっているということで、非常に健全な財政状況と言えると思います。この健全な財政を、今後さらに区民の暮らしを守るために活用すべきだというふうに思います。

 全体として新年度予算案が出ていますけれども、暮らしや福祉を進める予算として評価できると思います。子ども全力応援予算というふうにしていますけれども、子どもだけではなくて、高齢者や障害者、そして事業者、低所得者もこういった対策、必要な手立てを取っていく必要があると思います。また、賃金や雇用、教育費の負担、保育、介護の充実、こういったことも進めて、先ほど若者の話が出ていましたけれども、若者が希望ある社会、そういう社会を世田谷からつくっていくための取組というのも必要だと思います。

 給付型の奨学金の話が先ほど出ていましたけれども、私も児童養護施設向けの制度ができたときから、これは生活保護まで広げるべきだということをずっと言ってきましたけれども、そうした充実も必要だと思います。

 この健全な財政をどう生かしていくのか、区長の基本的な考え、今後の区政の方向を話してください。

保坂 区長

 ちょうど新型コロナウイルスによって、全国一斉学校休業、三年前はそうした状況、第一波が本格化した三年前でした。以来、七回、八回と波が続きまして、ここ近年はエネルギー価格や物価高騰、社会の見通しがつきにくい状況の中で区政運営を継続しました。

 この間、地方創生臨時交付金の財源活用、あるいは保健所の防疫体制、検査体制の確保や、医療機関や区内事業者支援、さらには、区内経済活性化でせたがやPayを三〇%割引も含めて消費喚起策を打つなど、区民の暮らしと命を守る課題に取り組んでまいりました。

 一方で、振り返ると、二〇二〇年当時、コロナ禍の当初ですが、これはリーマンショックを上回る経済危機が到来するおそれがあるというふうに分析いたしまして、緊縮措置を取りながら、行政経営改革の取組を続けました。しかし、その後、特別区税、特別区交付金等の歳入が増加したことを受けて、本庁舎整備や学校改築改修の今後の行政需要に備えた基金積立てなどを行って、特別区債を抑制するなど、財政基盤を強化してきたところであります。

 区の財政はふるさと納税の影響や、世界的な景気後退などの懸念など予断を許さない状況にあります。こうした状況下において、区民生活の動向を慎重に見詰め、子どもだけではなくて、もちろん子どもだけ応援するわけではありません。九十二万区民の中で支援の必要な様々な高齢者、障害者、事業者、低所得者対策も含めて、基金と区債のバランスで健全財政を保ちながらも、しっかり支えていくという区の役割を今後貫いていきたいと考えております。

中里光夫 委員

 健全な財政ですから、これをしっかり使って区民生活を守っていただきたいと思います。

羽根木区民集会所の問題について

中里光夫 委員

 次に、羽根木区民集会所の問題について質問します。

 羽根木区民集会所廃止、売却の方針は、地域行政を推進するという区の方向に逆行する暴挙だというふうに思います。区民生活委員会の答弁で、集会所の取得の経過は知っているが、最近知ったという答弁がありました。経過を知らないまま廃止売却の方針を決めたんじゃないでしょうか。この集会所は、区民の運動でマンション業者からただで譲り受けたものです。住民運動の当事者の理解を得ぬまま売却する、これはひどいと思いませんか。集会所、これはいかがでしょうか。

木本 北沢総合支所長

 羽根木区民集会所は、マンション建設への反対運動の中で、事業者から寄附を受けて区が整備した施設ですが、反対運動の詳細については、最近知ったところです。区では、区民が身近な地域で活動できる場の確保が重要な課題であるという認識の下、公共施設等総合管理計画を策定し、限られた財源の中で、効果的、効率的な公共施設の整備及び運営に取り組んでいます。

 この計画では、施設需要も厳しく見極め、利用率四〇%以下の施設は統廃合する方針としております。当施設は開設四十年を迎え、今後一定の改修コストも想定される中で、利用率三〇%を下回る状況から代田地区会館に統合して跡地は民間活用を図り、他の用途に転用する方向で検討してまいりました。

 しかし、マンション管理組合からの要望を踏まえると事業が限定され、事業者が参入できない可能性があるなど、有効な活用案を見いだすことができませんでした。世田谷区公有財産有効活用指針では、保有目的を達成し終えた土地及び建物は、売払いにより有効活用を行うとしており、今般、売却に向けた調整を進めることを決定し、先日の常任委員会で御報告したところです。今後、町会、管理組合理事会、利用団体、周辺住民などに丁寧に説明してまいります。

中里光夫 委員

 丁寧に説明すると言いますけれども、売却するなんて本当にひどいと思います。この集会所の廃止の問題は、地域行政、地域コミュニティーに対する区の姿勢の根幹に関わる問題だと思います。住民運動で区民の地域活動の場所として、住民自らが交渉して獲得した場所です。こうした取組は、住民自治、地域コミュニティーの力の発揮そのものであり、地域行政を進める区としてはこうした活動を後押しする、これが区の使命じゃないでしょうか。

 集会所をなくさないでほしいという署名が、先ほど聞きましたら、今日、九百二十人分まで集まっているというふうにいっています。もう毎日たくさん集まってきていると。こうした経過を区が忘れ去って、関係住民の意思も確認しないまま取扱いを決める。こんなことは、住民自治を推進する地域行政の意識を現場が失ってしまっている表れじゃないでしょうか。

 地域行政推進条例ができた今、打てば響く行政、住民に身近な行政、これを区は取り戻さなきゃならないんじゃないでしょうか。区長、どう考えますか。

保坂 区長

 羽根木区民集会所、改めて経過を振り返ると、昭和五十六年、一九八一年のマンション建設計画に対して周辺住民の皆さんが活発に運動されたという成果としてこの集会室が生まれたということで、その地域コミュニティーの中で、住民自身の力で生み出したスペース、空間、コミュニティーの拠点ということを、もっともっと当初から自覚すべきだったと思います。

 地域のまちづくりや住民同士の支えあいの活動など、地域コミュニティーの場としての公共施設を維持確保していくことは重要です。現在北沢総合支所長が答えたような方針で、一定の利用率とか、今後の経費だとかいうことで見直しを図っておりますけれども、今お話にあった九百人を超える方が、しかも、あの当時奮闘された方八十代半ば過ぎとも聞いております。需要がないというような判断で本当にいいのか。率直に、ここは立ち止まって、皆さんの声をきちんと聞いて、区の判断として、売却の方針を報告していますけれども、それでいいのかどうかということをしっかりと再検討する時期に来ているというふうに思います。

中里光夫 委員

 しっかりと住民と話し合って、方針の転換をしていくように求めておきます。よろしくお願いします。

公共施設等総合管理計画について

中里光夫 委員

 次に、公共施設等総合管理計画、これも見直す必要があると思います。

 今回のこの問題、地域の集会施設の在り方について、単に利用率が低いから整理をする、そういう考え方自体に問題があるんじゃないでしょうか。地域行政を推進するために、地域のコミュニティー、住民の自主的な活動を支える場所の確保が重要です。さらに、高齢者の居場所、若者の居場所、介護予防の活動場所、高齢者施設、障害者施設、子育て支援の場所、こういった公共的な空間の需要はますます大きくなって、場所がないということになっているんじゃないでしょうか。こうした場所の確保をきちんと位置づけていく必要があると思います。

 政府が押しつけてきた公共施設等総合管理計画は、公共施設の縮小を求めるもの。しかし、世田谷区は人口に対する公共施設の量は十分ではありません。必要な施設の確保に努めることを計画に反映させることが必要です。これについて、区の見解を伺います。

加賀谷 政策経営部長

 区民ニーズの多様化などに伴いまして、身近な地域地区における住民の様々な自主活動、自主的活動の拠点となります区民集会施設、今後さらに重要性を増すものと思ってございます。区としても、地域の大切な資産であるとの認識は、引き続き持ち合わせているところです。

 その中でも地区会館ですけれども、目的用途から区民集会所とともに半径五百メートルの範囲、徒歩圏内で行ける範囲を目安に設置してきたところですが、その範囲がうまくまとまっていないところはございますけれども、区としては整備が一旦終了しているという状況でございます。さらに、利用率の低い施設ですけれども、地域、利用者等の意見を踏まえまして、より利用しやすい工夫を図りながら若者、高齢者の居場所としての活用をはじめ、地域の新たな需要を踏まえた機能を追加するなど、現在ある施設の有効活用にもつながるものと考えてございます。

 区内約九百の公共施設がございます。今後、地域地区での需要変化を踏まえ、利用率なども参考にしながら、機能面の向上など、現在の施設を最大限利用するという視点から検討は進めていきたいと考えております。

中里光夫 委員

 やはり必要な活動場所というのはまだまだ足りないと思うんです。ここは本当に有効活用ということで見直しが必要だと思います。

本庁舎の問題にについて

中里光夫 委員

 次に、本庁舎の問題に移りたいと思います。

 本庁舎整備、これを一期工事で止めて計画を見直すという議論がございます。我が会派は、庁舎の老朽化、狭隘化が深刻な状態であり、建て替えなどの本格整備が必要であること、それから庁舎整備に当たっては必要な機能を確保すると同時に、区民生活に影響を与えないよう費用を抑えることや、計画的な資金計画などが第一義的に重要な問題だ、こういうことを表明して、同時に区民が集う場所として、その役割を果たしてきた前川建築のよいところをできるだけ継承すべき、こう考えてきました。

 現在の庁舎整備計画は、区民参加の開かれた議論の中で基本構想がつくられ、公開コンペで設計者が選ばれ、区民参加で議論を重ねながら設計施工が進められてきたと認識しています。今、資材が高騰し、契約金額が上がっているということもあります。区民生活に影響を与えないよう費用を抑えることや、計画的な資金計画を私たちは求めてきましたが、現状で、本庁舎整備の資金計画はどうなのか、暮らしや福祉の予算に影響を与えることはないのか、大丈夫なのか、ここについて伺います。

佐藤 庁舎整備担当部長

 本庁舎等整備に係る事業費については、主に建設や解体に係る本体工事費と、それ以外の移転や物品購入等の関連事業費がございます。事業費の大部分を占める本体工事費については、区財政への影響も大きいことから、財政所管とも協議しながら、その約八〇%を基金、約二〇%を特別区債で賄い、他の事務事業への影響を極力抑える資金計画としております。なお、年度ごとの決算の収支見通しを踏まえ、基金の取崩し額を抑えるなど、後ろの年度に備える工夫もしております。

 また、工事の進捗を踏まえ、一般会計予算で計上する物品購入等に係る関連事業費につきましても、その必要性を絶えず精査するなど、予算の低減に努めているところでございます。

中里光夫 委員

 暮らし、福祉には影響を与えないと、しっかりやっていくということですね。

 この施工に当たって、公契約条例のモデルとなるように、地元業者の活用や労働条件の確保に努めるよう求めてきました。地元業者の活用状況を公開するなど一定の成果も上げてきました。コロナ禍で、区内の経済循環、地元業者への工事発注という点で庁舎整備の果たす役割は大きいと思いますが、現状をどう評価していますか。

佐藤 庁舎整備担当部長

 本庁舎等整備工事は、区内でも最大の事業であり、区内経済に与える影響も大きいことから、施工者の選定に当たりましては、工事における区内事業者への発注金額の提案を求めました。当該事業の施工者である大成建設からは、地域貢献提案として約八十億円の提示を受けており、この発注金額は施工者が履行の義務を負う契約事項となっております。

 工事の着手以来、施工者による技能セミナーの開催、工事発注状況の施工者ホームページへの公開、また施工者の取組を区が発行する情報誌へ掲載するなど、より多くの区内事業者の当該事業への参加に向けた取組を進めてきました。地域貢献の履行状況につきましては、四半期ごとに確認を行っており、令和四年十二月時点での提案金額の約五割の達成率となっており、順調に推移していると考えております。

 今後とも、本庁舎等工事への区内事業者の参加に向けた様々な取組の実施について施工者に働きかけてまいります。

中里光夫 委員

 それから、この建て方を集約して空いた土地を売却するだとか、上層階に分譲マンションを販売して建築資金をつくれという議論もあります。他区で実際にそのような手法を取ったところがあり、私も視察をしてきました。区の土地を企業に提供し、建設費を調達するというのは、都心に近い便利な場所でなければ企業側のメリットもないですし、そもそも区民の土地を企業の利益のために差し出すということに私は反対です。

 また、現在の本庁舎の計画は住宅地の中にあることや建築制限から、現在の計画規模は目いっぱいのものと考えます。さらに高層化し、土地を開けることなど無理な話です。さきに述べたように、区の公共施設は不足しており、国有地などが空いたときに、その活用を議論する、そういう状況です。

 施設の集約化で新たな土地を生み出すならば、その土地は公共施設としての利用を優先して検討すべきであり、高く売却できるような場所であれば、公共施設としても利用価値が高い場所です。庁舎と同じ建物にマンションを入れて区分所有にすれば、奥沢区民センターで建て替えができずに困難な状況になっていますけれども、さらに大規模な困難な状況を未来に残すことにつながり、これにも反対です。

 そもそも基本構想の段階で、民間資本活用を含めた様々な手法を比較検討した結果、現在の方法を決めたはずです。現在の建築手法を採用した理由確認します。

佐藤 庁舎整備担当部長

 本庁舎等整備における建築手法については、区民十三名と学識経験者七名により構成された検討会による議論、区内五地域での説明会、意見交換会を経て、平成二十八年十二月に策定した本庁舎等整備基本構想の中で整理を行っております。まず、官民共同事業、PPP方式につきまして、渋谷区や豊島区については、事業敷地の容積率が現況でも五〇〇%を超え、高度利用が可能な商業系の地域であり、余剰の床面積を期待できたことに対し、住宅地内の世田谷区役所に立地条件では、同様の事業採算性を期待することは難しく、採用の可能性は低いとしております。

 そのほかにおきましても、本庁舎等整備におきましては、現状の周辺環境を前提とした上で、透明性や公開性の確保をすること、区民や区の意見等を十分に反映させることができる現在の方式を採用……。

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