予算特別委員会 令和4年03月24日(補充質疑)

2022/03/24

質問項目

 

質問

地域行政について

中里光夫 委員

 それでは、日本共産党の補充質疑を始めます。

 保坂区政三期目も残り一年となりました。今後十年を見据えた次期基本計画の検討も始まります。限られた任期で保坂区政が推進してきた参加と協働、そして区民の暮らしや福祉を優先する区政の発展が必要だと考えます。今日は区長に質問していきます。

 まず初めに、地域行政についてです。

 次期基本計画の検討に向けた有識者との懇談会の議事録を読ませていただきました。自治政策研究所所長や五つの各分野の審議会の会長などが意見を交換していました。これまでの基本計画の副題にもなっている参加と協働、これについて今後の発展を望む意見が続いていました。

 大杉自治政策研究所長は、区政を推進する基本の部分をしっかりできないだろうか、場合によっては、区民参加や協働の根拠となる自治立法を考えてもよいのでは、区政全般の参加や協働を明確に位置づけて考えることも必要になるのではないか。

 それから、子ども・子育て会議の森田会長は、子どもや若者を区政を一緒に動かしていく主体として位置づける、子どもの参加と協働、それから、地域の中で生きていく主体として、彼らの意見をきちんと聞く、彼らの意見に基づき施策や事業に生かす、こういう見解を述べていました。

 そして、都市計画審議会の中村会長は、世田谷らしい地域コミュニティー、平時にも災害時にもみんなが助け合うコミュニティーの在り方を考えていかなければいけない。世田谷らしいコミュニティーのお話をしていました。

 地域行政の理念は、都市としての一体性を保ちながら、住民自治の実を上げるため、区内を適正な地域に区分して、地域の行政拠点を設置し、これを中核として地域の実態に即したまちづくりを展開するとともに、区政への住民参加の促進を図り、住民自治の確立を目指す、これが地域行政の理念と言われています。

 区長は、令和三年九月議会の招集挨拶の中で、DXの推進を踏まえた新たな行政サービスと参加と協働の変革に取り組む中で、まちづくりセンターや総合支所における広報広聴の機能を強化し、参加と協働を土台として、より住民参加を推進する姿勢と取組を条例に組み込んでまいりますというふうに述べています。しかし、現在の条例や計画の素案を見てみますと、この住民参加ということは書かれているんですが、区民が主権者として主体的に地域や区政に関わっていく、これに対する記述が弱くなっていると思います。

 地域行政推進条例の素案では、条例の目的に住民自治の充実とありますが、条例が目指す姿や区としての定義が語られていません。私たちは、住民が主体的に地域の課題解決をしたり、区政への参画を進めていくもの、協働や参画の観点の明記、これが必要と考えます。区長の認識はいかがでしょうか。区長は条例で何を目指していくのか、お聞きします。

保坂 区長

 地域行政制度改革では、有識者の方々から極めて有益また本質的な御意見をいただきました。地域課題が大変複雑化していく中で、区民ニーズをきめ細かく捉えて、参加と協働による取組を一層、地区の中で、地域の中で、デジタル技術も活用しながら推進をしていく改革だと思っております。
 この条例化を契機に、多様な地域コミュニティーの担い手が創意工夫を凝らした主体的なまちづくりを進め、地区、地域において多様なテーマで住民同士が話し合い、物事を進めていく機会を多く持つことが大変重要です。その際、区民の間にある一種の分断、これを克服する工夫も必要で、例えば古くからお住まいの住民と新たに越されてきた住民の間、あるいは世代間のギャップ、また、女性の立場、男性の立場、こういった枠を乗り越えていくことが大事だと考えております。
 地域行政推進条例においては、このような課題が読み取れるように検討を加え、多くの区民の理解を得ることが必要です。地行改革が住民自治の充実につながり、安心と希望の持てる地域社会をこの住民自治の力で、よりよく実現することを目指してまいります。

中里光夫 委員

 主体的なまちづくりを進めていくと。そうした姿がよく読み取れるようにさらに検討を加えるというお話ですけれども、やはりこの住民の主体的な協働や参画の観点を条例や計画に位置づけていく、しっかり書き込むことが必要だと思いますが、区長、いかがですか。

保坂 区長

 御意見を参考に、私は先ほど他会派の質問に住民参加の四文字もお答えしました。そういう観点でさらに検討を進めてまいります。

中里光夫 委員

 しっかりと主体的なまちづくり、これがよく読み取れるようなということですから、そこをしっかりお願いします。

災害から区民の命と暮らしを守るという問題について

中里光夫 委員

 次に、災害から区民の命と暮らしを守るという問題です。

 今期、さらなる推進が必要なのは、コロナパンデミックや震災や水害などの自然災害から区民の命と暮らしを守ることです。

 まず、コロナパンデミックのことですが、この間、この二年間は本当にコロナとの闘いでした。パンデミックはまだ収まりません。引き続きコロナから区民の命と暮らしを守ることが区政最大の課題だというふうに思います。

 まん延防止措置が全国で解除されました。しかし、昨日の区のホームページを確認しましたけれども、現在の区内の感染状況、新規感染者は二百人から五百人のあたりを推移していると。入院中の方が七百二十六人、宿泊療養中が百九十四人、自宅療養中が四千七百八人、小中学校の学級閉鎖は十五校二十二クラス。年明けから三か月近く、高い感染の状況が今も続いていると。保健所や医療現場の厳しい状況が長く続いています。まん延防止措置が解除され、人流が増えれば、リバウンドや第七波になることが危惧されています。政府の感染症対策分科会の尾身会長も、年度末の人の動き、BA・2株の懸念、感染の再拡大やリバウンドが予想されるというふうにも述べています。

 我が党は、コロナから住民の命と暮らしを守る四つの柱ということでこの間、提起してきました。一番目はワクチンの早期接種、第二は大規模検査の実施、第三は保健所体制の確保や医療への支援、そして第四は暮らしと営業を守る支援です。

 保坂区政のこの間のコロナ対策は、ワクチン接種では高齢者施設での集団接種や保育や介護の現場で働く人の優先接種に取り組むなど、感染リスクや重症化リスクの高いところへの対策、これを進めました。また、検査では、社会的検査を職員のみならず利用者や家族にまで拡大していく、保育園や介護の現場でこういったことをやりました。地域、施設のクラスターと感染抑止の大きな効果につながっていると思います。さらに、広く区民対象の検査キットの配布にも踏み出しました。保健所の体制の強化や医療機関への支援も独自に進めてきました。暮らしと営業への支援では、区独自のゼロ金利融資、ひとり親世帯への独自支援やせたがやPayを使った直接支援にも取り組んでできました。これらを評価します。

 リバウンドや第七波に備えた今後の取組は、特に保健所や検査の体制、暮らしや営業の支援の強化が必要となります。第六波では、区が当初想定した感染者数をすぐに超えて、その数倍の規模に広がりました。保健所の体制は逼迫し、電話もつながらず、在宅療養者に支援物資もなかなか届かない、こういう事態にもなりました。第七波に備え、保健所や在宅療養者への支援の体制を検証し、十分な準備を進めるべきです。

 私の知り合いの音楽関係の仕事をしている方から、コロナで仕事が激減して、給付金で何とかつないでいるんだというお話も聞いています。特に自営業、フリーランス、非正規、こういった方々の事業や暮らしの状況は大変厳しい。支援の拡充を進めるべきです。

 区長はこれまでのコロナ対策をどう評価するか。また、今後、検査や保健所の体制の強化を行うべきです。暮らしと営業の支援を拡充するべきです。区長の考えを伺います。

保坂 区長

 二年前に新型コロナウイルス感染症が区内で発生して以来、区政最大の長期にわたる危機管理、最重要課題として、区民の命と健康を守ることを最優先で取り組んでまいりました。社会的検査を含む検査体制の強化、自宅療養者の方の支援体制構築、ワクチン接種、医師会の協力もいただきながら感染拡大防止策を進めるとともに、特別定額給付金や生活困窮者自立支援金等の生活支援策、区内事業者への緊急融資、飲食店支援などの経済対策、全庁を挙げてこのコロナ対策に取り組んできたところであります。

 今後については、四月以降も引き続き区民の検査機会の確保に努め、行政検査体制のほかに、事業所や施設内で感染者が発生した場合に実施する随時検査の強化、感染不安になった際に御利用いただける抗原定性検査キットの保育園・幼稚園施設などへの配付など、社会的検査を継続して実施できる体制をつくってまいります。

 保健所の体制については、区民の健康と命を守る健康危機管理業務の根幹を担う組織であるという認識の下で、来年度は保健師、事務職の増強を図るなど、保健所体制の強化にも取り組んでいきます。

 感染者が減り始めていく下り坂の時期に次の波、今だと第七波ということになりますが、この準備をすることが肝要です。今後も、感染フェーズに応じた効果的な感染症対策、生活困窮者への支援、区内事業者への事業継続のための支援、時期を逸することなく、総合的に進めていくとともに、コロナ後の社会の実現に向けて、出口戦略を見据えて、区民の暮らし、健康、命を守ることを優先して取り組んでまいります。

中里光夫 委員

 我が党はこの間、社会的検査の対象拡充、そして体制強化を求めてきました。さらにこの間の取組を踏まえての改善が必要です。特に社会的検査では、学校や保育園、介護事業所などに周知を徹底して、十分な検査キットの配付をすること、また、介護事業者から、随時検査実施日まで何日もかかった、すぐに検査してほしいとか、土日も実施してほしい、定期検査があれば安心できるなどというお話を伺っています。

 今後、第七波、八波が来たときに新年度予算で対応できるのか。必要なら補正予算を組んででも対応する必要があります。今後十分対応できるよう体制の強化を求めます。区長の見解を伺います。

有馬 保健福祉政策部次長

 令和四年四月以降の社会的検査は、引き続き随時検査及び抗原定性検査を実施することを予定し、新年度予算案に計上しております。次なる感染拡大期である第七波は四月、五月を想定し、現時点では少なくとも第六波と同程度の体制を組むこととしております。第八波は七月、八月を想定し、第六波の教訓から、抗原定性検査キットやPCR検査に必要な容器等の事前確保に努めるとともに、検査拡充に向けて検討してまいります。

 また、抗原定性検査キットの施設への備えとしての配付でございますが、希望する施設に対して、令和三年十一月以降、順次実施してまいりましたが、委員お話しのとおり、配付希望が施設全体の五割でございました。また、令和四年一月の第六波では供給不足が生じたことも踏まえまして、令和四年度につきましては、改めて関係所管部と連携を図りながら、四月早々にも当該配付事業を積極的に備蓄いただくよう施設へ周知してまいります。

中里光夫 委員

 随時検査で時間がかかったとか物が不足したとか、こういうことを繰り返さないようにしっかりと体制も強化して臨んでいただきたいと要望します。

震災などの自然災害の問題について

中里光夫 委員

 それでは次に、震災などの自然災害の問題です。

 首都直下地震はいつあってもおかしくありません。先日の地震で広範囲にわたる停電が起きました。地震による発電所の停止を引き金にして、大規模停電を阻止するための電力需給バランスを取るシステムが自動的に送電網を切り離したと。東電管内では二百九万軒、世田谷区内でも約二万七千八百五十軒が停電したと。ここ数日、火力発電所の地震からの復旧が進んでいないことと、急な寒さによる電力需要増加から停電のおそれがあると節電の呼びかけが行われていました。

 また、二〇一八年の北海道地震では、この電力需給バランスの崩れから発電所停止の連鎖が起きてブラックアウトとなりました。二〇一九年の千葉県の台風被害による送電線倒壊では、長期にわたり停電が続いたと。停電のリスクに対する対策に今、関心が高まっています。

 我が党は、避難所の非常用電源の強化を求めてきました。災害時であってもエアコンが使えるかが命に関わることもあるんだと。エアコンも使える避難所ということを言ってきました。現在、避難所に配備されている非常用の電源は、発電機用のガソリンが三十リットル、ガス発電機用のボンベ四十六本、それからソーラー式の蓄電池というような状況です。

 避難所で使用する電源機器は一日当たり二十九キロワットを想定しているということです。この二十九キロワットは、その中身は何かというと、アンプとマイクのセット、電話、ファクス、防災無線、PHS、受信機、テレビ二台、ラジオ、投光器と、本当に最低限避難所を運営するものと。これは被災者となる区民が避難生活を送るための電力には全然想定されていない。非常用電源はそういうものには全く回っていかないと。この充実は待ったなしの問題です。

 区長も以前の議会で、太陽光発電、蓄電、バッテリーなどをそろえていくんだ、エアコンを稼働するには電源車の手配がないと難しいが、これがどうできるのかも検証する、課題についてできるものから着手するというふうに言っています。その後、ガス自立式エアコンの設置の拡大や電気自動車の活用も始まっていますが、まだまだ一部です。

 災害時の非常用電源の確保が現状でよいと考えるのか。今後どうしていくのか。まず、福祉避難所の電源確保を始め、避難所電源の確保を計画的に取り組むことをやるべきです。区長の考えを伺います。

保坂 区長

 指定避難所や災害時の支援活動の拠点となる区の施設におきましては、非常用の発電機器の配備やEV車、電気自動車の災害時配置などを進め、避難者の受入れや情報連絡活動など必要な三日分相当の電力を確保しています。

 さらなる電力の確保に向けては、進歩を続ける再生可能エネルギー技術の新たな活用について検討を進めつつ、燃料を用いる発電機器の配備や、蓄電池を活用した施設への太陽光発電設備の整備の一層の促進を図るなど、できることから着実に進めてまいります。

 停電が長期間にわたった際の在宅避難者の電力確保につきましても、家庭でのEVや太陽光発電の普及拡大を進め、その電力を有事には地域で共有する電力の自助、共助、相互扶助を促進することが最大の解決策であると考えています。この促進に向け、効果的な区の支援について引き続き検討を進めてまいります

 そして、自然の恵みを生かし小さなエネルギーで暮らす豊かな町の実現は、災害に強い自立的な電源の確保を可能とする地域社会を実現することでもあり、災害対策を考える上で重要な視点として、区を挙げてその実現に向けた取組を今後もさらに改善をしてまいります。

中里光夫 委員

 できることから着実に進めるということなんですが、やはり計画的にこれは取り組んでいくことが必要だと思うんです。とにかく手をつけていくということではなくて、きちんと計画的に進める必要があると思いますが、いかがですか。

菅井 危機管理部長

 今お話しいただきました避難所におきましては、三日間、ガソリン・ガス発電機などを含めまして稼働させて、電源を確保していこうと考えてございます。さらに、その上、どこまで目標を定めていくかというのは、今後のまたさらなる電源確保ということになりますので、新たな技術の発展だとか、また、各家庭、事業者への再生エネルギーの拡大状況だとか、また、国や東京都、電力会社の取組などを踏まえまして、さらに検討を進めていきたいと考えてございます。

中里光夫 委員

 検討ばかりで進む気がしません。きちんと計画を立てて取り組んでいただきたいと強く要望します。

補聴器補助について

中里光夫 委員

 最後に、補聴器補助について質問します。

 補聴器の購入補助は、重度の難聴の方には、障害者の補装具としての支援制度があります。また、中等度の難聴に対しては、十八歳以下の子どもに対しては都の助成制度があります。

 しかし十八歳以上の中程度、軽度の難聴者には補聴器の補助制度はありません。

 しかし、近年、自治体による補聴器助成が広がっています。中程度の難聴であっても、人の会話を遠ざけ、社会活動に支障を来します。三鷹市では、十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入助成を始めます。こうした動きが広がっています。

 区は、十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入補助の意義についてどのように考えるでしょうか。

須藤 障害福祉部長

 身体障害者手帳の交付の対象とならない中等度の難聴の方に対する支援につきましては、言語の習得、それから生活、それからコミュニケーション能力の向上、こういったことの促進をし、児童の健全な発達を支援することを目的に、東京都の補助金を活用して、補聴器の購入費用の一部、全部の助成をしているものとなります。

 お話しの十八歳以上の方への支援につきましては、学校ですとか仕事、それから日常生活の様々な場面におきましてコミュニケーションのサポートに資するのではないかというふうには考えてございます。

 今後、対象となるものの範囲、または財源といったような課題、それから公平、継続といった観点などを踏まえまして、他区の状況も参考に、関係所管との整理が必要かというふうに考えてございます。

中里光夫 委員

 難聴が高齢者の社会参加を遠ざけ、認知症やフレイルの原因となることは、多くの専門家が指摘しているとおりです。外出する機会が減った、聞き間違いが多い、補聴器は高価なので購入をちゅうちょしている、こういう声が私たちのもとにも届いています。

 これまでの調査で、聞こえが悪くなっている高齢者が世田谷で全体の三割いると。需要もあります。補聴器の使用が効果があることも分かっています。東京都の補助制度も使えます。多くの自治体で実施しています。

 高齢者の孤独対策、認知症対策という区が進めようとしている政策のためにも、補聴器を区が積極的に普及を図るくらいの取組が求められるんじゃないでしょうか。高齢者の補聴器の必要性について、区長の認識を伺います。

保坂 区長

 聴力が低下をして、よく聞き取りにくい、これが孤立を深めたり、孤独をさらにそこに押しやったり、周囲とのコミュニケーションの確保が困難ということは、大変御本人にとって大きな問題だと思っております。聴覚に関するバリアフリーを進め、日常生活の質を高める上で補聴器を使用することは大変大事なことだと考えております。

中里光夫 委員

 早く実施するべきです。区長の考えを示してください。

保坂 区長

 これは他自治体の取組状況を踏まえて、持続可能な制度として検討していく必要があると思います。令和六年から八年度の三年間を計画期間とする第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定で検討に着手してまいります。

中里光夫 委員

 検討に着手するということですが、これを急いで実施していただきたいと思います

 以上で終わります。

<< 前のページへ戻る