一般質問 令和3年9月17日定例会

2021/09/17

質問項目

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質問

子ども施策について

中里光夫 議員

 初めに、子ども施策についてです。

 保坂区長の下、子ども、若者を応援する施策は大きく前進してきました。しかし、今般示された保育、学童について、改めて区長の子ども施策に対する政治姿勢を確認します。

 一つ目は保育についてです。

 私立園の欠員について、私どもは私立園関係者から死活問題と伺っています。減収補填など事業継続への支援を求めます。しかし、欠員を理由とした区立保育園の定員減は拙速です。区は今般、保育定員適正化への取組として、来年四月入園の区立保育園定員をゼロ歳児を含め四十九名削減する予定です。弾力化解消は必要ですが、区立園の定員減は以下の四つの理由で反対します。

 第一に、公的責任の後退につながります。区は区立保育園の今後のあり方で「『子どもの育ちのセーフティネット』としての役割を行政の責任のもと担い」と、保育の質の向上や支援が必要な子どもや家庭へのサポートなど六つの役割を定めました。緊急保育の例では、台風十九号水害の際、浸水した私立園の子どもを区立園が引き受け、保育を継続しました。ある私立園の園長から、子家セン経由で一時保育依頼があっても、人員体制不足で受入れが困難だ、セーフティーネットは区立園が担ってほしい、確かに欠員は大変だが、だからといって区立園を定員減して大丈夫かと伺いました。

 第二に、年度途中の入園です。四月時点のゼロ歳児欠員は二百四十六人でしたが、九月一日現在五十六人に減っています。五か月で百九十人が入園しました。産休明けや子家セン経由の養育困難家庭など入園しています。年度途中で入園できる状況は、本来の姿です。四月の欠員だけで保育需要は図れません。

 第三に、コロナ収束後の保育動向は不透明です。コロナでの出産控え、在宅勤務など非常時の対応が影響しています。人口も将来的には増加に転じる見込みが示されています。

 第四に、参加と協働が貫かれていないことです。定員減は議会には報告されましたが、多くの保育関係者、保護者には知らされていません。広く区民意見を聞き、参加と協働での検討が必要です。区立園の定員減について保育関係者や保護者の話を聞き、再検討を求めます。改めて、保育に対する区長の基本姿勢を問います。見解を伺います。

 二つ目の子ども施策の問題は、大規模学童クラブについてです。

 我が党は、学童クラブは直営が基本と考えます。学校周辺で公共施設、民間施設などを活用し、直営での分割化検討を求めます。元北沢小地域の子どもを対象にした地区会館を使って児童館分館と位置づけた放課後の遊び場きたっこの例があります。慢性的な職員不足については、子どもの安全と保育の質を守る要は職員であり、非常勤の時給アップなど、あらゆる努力を求めます。

 他会派の質問で区は、民間学童の誘致、参入促進を検討と答弁しています。しかし、民間学童の活用は慎重であるべきです。

 第一に、子どもの安全など、保育の質を守る具体的対策、区の取組が不明です。健全な育成に欠かせない外遊びや運動の場の確保など保障できるのか。

 第二に、民間学童ではセーフティーネットの役割を担えません。昨年の突然の学校休校の際、民間学童が休止する中、新BOP学童クラブは、児童館の応援も得ながら、翌日から丸一日、子どもを預かる体制をつくり、民間学童の児童にも門戸を広げました。公設公営だからこそ、その役割を発揮しましたが、民間では、緊急時、非常時の対応は困難です。

 第三に、子ども、家庭の事情により格差が生じます。利用料補助などインセンティブを付与しても、民間と直営が同じ利用料、サービスとはなりません。家庭の経済力や子どもの障害の有無で格差を生みます。全ての子どもに対する公的責任をどう考えるのか、民間活用で学童保育の公的責任の後退となってはなりません。区長は公的責任についてどのような認識か、伺います。

公共施設等総合管理計画について

中里光夫 議員

 次に、公共施設等総合管理計画についてです。

 公共施設等総合管理計画は、総務省が全国の公共施設縮減を促進するものです。人口減少の地方と人口が増加し、行政需要が増え続ける都市部に同じように公共施設の縮減を求めるやり方は問題です。世田谷区の区民一人当たりの公共施設の延べ床面積は二〇一二年の調べで二十三区最低です。必要な施設の整備、確保、そのための国からの財源確保に一層取り組むことが重要です。厳しい財政状況と言いますが、区財政は健全です。

 経費削減のために小学校のプールの共同利用方針が示されましたが、教育環境の後退であり、やるべきではありません。また、学校プールは地域の貴重な消防水利です。地域の安全も考慮する必要があります。学校のプールの共同利用は計画の重点政策から外すべきです。見解を求めます。

DXについて

中里光夫 議員

 次に、DXについてです。

 九月一日にデジタル庁が発足しました。国は個人情報利活用方針の下、コンピューターを外部と接続することについての規定や個人情報の扱いに対する審議会の関与など、世田谷区がこれまで積み上げてきた個人情報を保護するためのルールを許容されませんなどとしています。個人情報保護の水準を後退させるわけにはいきません。

 システムの標準化については、国は自治体クラウドシステムのカスタマイズは認めない方向です。富山県上市町では、議会からの自治体独自の国保の子ども均等割の提案に町長が、自治体クラウドを採用しており、カスタマイズはできないと提案を拒否する答弁をしました。世田谷区の独自策が実施できず、区民サービス後退などあってはなりません。DX推進において、個人情報保護と区独自施策をどう守っていくのか、区長の見解を伺います。

 次に、図書館の指定管理者の導入についてです。

 さきの我が党の一般質問で、区は指定管理者を導入している経堂図書館について、支出超過となっていることやスタッフの入れ替わりが多いといった課題を認め、指定管理者更新・導入に向け、課題を整理し、適正に評価すると答弁しています。今後の審査で適正に評価するために具体的にどうするのか、伺います。

 また、烏山・下馬図書館で新たに指定管理者導入としていますが、二館合わせて約三十人の非常勤職員の雇用をどう守るのか。長年にわたって図書館に勤務し、高い専門性を持つ方々もいて、これまで地域の図書館サービスを担ってきました。人材育成を今後の重点とする区の方針にも逆行することにならないか、区の見解を伺います。

英語スピーキングテストについて

中里光夫 議員

 次に、英語スピーキングテストについてです。

 東京都は来年度から都立高校入試に英語スピーキングテストを導入しようとしています。十月から中学三年生全員を対象にしたプレテストが行われる予定です。このテストは、英語を話すことの力を評価する実技試験です。ベネッセが用意する機材に録音し、ベネッセが持ち帰り、採点します。世田谷区の場合は全ての中学校が会場になる予定です。

 この試験には大きな問題があります。

 第一に、公平性、中立性、信頼性に問題があることです。ある教師は、学校でスピーチなどの実技テストを一緒に教えるALTと二人で評価しても判定はそれぞれ違う。公平でない採点で入試の合否が左右されるのはおかしいと言っています。また、塾で試験対策ができる人が有利となり、家庭の経済力が入試に影響するのではなどの心配の声が上がっています。採点はベネッセの協力会社がフィリピンで行いますが、詳細は非公表で、透明性が担保されません。

 第二に、個人情報の扱いです。生徒の顔写真と名前をベネッセのシステムに登録します。かつて同社で二千万人以上の情報漏えい事件があり、個人情報保護に不安があります。

 第三に、コロナ対策上の懸念です。室内で生徒がマイクに向かって一斉に話すなど、感染対策上、懸念があります。先日、区内保護者の有志が東京都に対し、スピーキングテストの中止、撤回の申入れをしました。日本共産党は、英語スピーキングテストの中止を東京都に求めています。プレテストの中止を求めます。高校入試への民間テストの導入について、教育長の認識を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

中村 副区長

 私からは、区立保育園の定員減についてお答えいたします。

 今般、保育施策の一部を見直した今後の保育施策の取り組み方針においても、保育待機児童ゼロの継続、子どもを中心とした質の高い保育の実現という基本姿勢はこれまでと変わりはありません。このたびの区立保育園の定員減の対応につきましては、周辺地域の就学前人口や近隣保育施設の欠員状況等を勘案し、事前に当該園をはじめ、区立保育園長会にも案を提示した上で、九月発行の保育のごあんないにも令和四年四月一日予定の認可定員として区民に周知をしています。

 今後も、区立保育園の定員調整につきまして、保育需要や地域の保育施設の状況を踏まえ、保育現場からの声も聞きながら、慎重に見極めてまいります。また、子どもがいきいきわくわく育つまちの実現に向け、区立保育園が地域における身近な児童福祉施設として、子どもの育ちのセーフティーネットとしての役割を行政の責任の下に担っていくよう取組を進めてまいります。

 以上です。

柳澤 子ども・若者部長

 私からは、大規模学童クラブへの対応に関連して、学童保育における公的責任について御答弁申し上げます。

 新BOP学童クラブにおいては、児童の健全育成に取り組むとともに、子ども家庭支援センターや児童相談所などと連携し、支援が必要な家庭を発見し、子どもの生活を支えるなど様々な取組を実践しております。また、配慮を要する児童の見守りを丁寧に行うなど、児童の育ちと保護者を支えております。

 学童クラブの登録児童数は年々増加し、二百名を超える学童クラブが複数となるなど、大規模化による活動スペース、支援する人員の確保が課題となっております。この中で放課後児童健全育成事業を必要とする全ての児童、保護者がそれぞれの状況に合わせて利用できる持続可能な制度を構築するためには、区が一定程度関わりながら、民間事業者と協力して、学校内外での新たな場の確保に取り組むことが必要であると認識してございます。

 庁内検討に当たり、新BOP学童クラブが民間の放課後児童健全育成事業者とともに、子どもの遊び、生活の場の確保を通じて、子どもたちの心身の健やかな育ちや家庭への支援などが進められる仕組みなど、他自治体の取組事例等を参考に検討しているところでございます。

 学童保育の公的責任として、児童の健全育成に向けて質を確保し、児童が安全に安心して暮らせる居場所を提供し、自由な遊びや体験、交流の場を充実するとともに、セーフティーネットとしての子育て家庭や児童への支援など、児童、保護者が必要とする支援につなげられるよう取り組んでまいります。
 以上でございます。

加賀谷 政策経営部長

 私からは、公共施設等総合管理計画に定めますプールの共同利用について御答弁申し上げます。

 区では区内の全小学校に屋外プール施設を設置しておりますが、公共施設等総合管理計画一部改定案でもお示ししてございます、その利用が一年を通して夏季のみに限られること、また、プール施設の整備や維持に多くの経費を要すること、さらには、昨今の気温上昇による熱中症対策として水泳授業を中止する状況が生じている状況も鑑み、今般、学校プールの共同利用のモデル実施に取り組もうとするものでございます。区立小学校の水泳授業を近接中学校に配置されている屋内温水プールを活用したモデル事業として試行し、区立小学校のプール施設の今後の在り方を検討するための基礎資料としたいと考えており、九月下旬より玉川小学校での実施を予定しているところでございます。

 このモデル実施により、子どもたちの安全面やカリキュラムの調整、教員の負担軽減や泳力向上等の効果を検証し、保護者や児童、教員などの意見も踏まえ、他の自治体の取組も参考とし、令和六年度に予定している公共施設等総合管理計画の本改定時に再度判断をしてまいります。

 以上でございます。

加賀谷 デジタル改革担当部長

 私からは、DXにおける個人情報保護、区民サービスの後退をさせない区の基本姿勢について御答弁いたします。

 五月に成立いたしましたデジタル改革関連法のうち、デジタル庁設置法や地方公共団体情報システム標準化法など九月に施行され、区では法律に基づく対応につきまして、DX推進と並行して進める必要がございます。法改正の対応につきましては、例えば標準化に関する法律では、各地方自治体は国の標準化基準に適合した十七業務のシステム利用が義務づけられ、令和七年度までの移行を目指すこととされておりますが、各省庁が示す標準仕様と区の既存システムとの相違点などの検証に多くの時間と労力がかかることも想定されます。

 従来のやり方や慣習にこだわらずに取り組む視点におきましては、国の進める標準化や共通化の取組は一つの有効な手段と言えますが、区民サービスを後退させず、利便性の向上を図り、区民のプラバシーへの安全安心につきまして配慮した運営に努める必要がございます。引き続き、個人情報保護の徹底は最優先すべきとの認識の下、必要に応じまして国に対しては積極的に要望してまいります。

 以上でございます。

内田 生涯学習部長

 私からは、図書館の指定管理者の導入において、適正な評価と職員の雇用の二点について併せてお答えいたします。

 指定管理者制度の更新、導入に当たっては、継続的な図書館サービスを強化する工夫や中央図書館との連携によるレファレンスの充実などに取り組む必要があると考えております。また、指定管理者候補者の選定に当たり、収支計画の妥当性や地域に根差したサービス向上、人材確保の取組等の強化、人員体制の詳細報告の徹底といった改善の視点を取り入れてまいります。

 今後、魅力ある図書館づくりに向け、より適切な管理運営が行えるよう(仮称)図書館運営協議会において評価検証を行い、利用者ニーズに即した図書館運営やサービス水準の安定化などを図ります。また、図書館嘱託員につきましては、引き続き図書館の専門性や経験を生かせるように人事所管と連携しながら対応してまいります。

 以上でございます。

粟井 教育政策部長

 私からは、英語スピーキングテストについてお答え申し上げます。

 東京都中学校英語スピーキングテストにつきましては、今年度はプレテストを区立中学校第三学年全生徒を対象に、学校を会場として実施する予定でございます。その際、テストの公平性や信頼性が担保され、個人情報の漏えいを防止する措置が確実に取られることが必要であると認識しております。今年度のプレテストの実施を踏まえ、中学校から課題等を聞き取った上で、その内容を東京都教育委員会に情報提供するとともに、必要に応じて意見を伝えるなどの対応を行ってまいります。

 以上でございます。

中里光夫 議員

 参加と協働は区政の根幹です。政策形成の過程から参加と協働、これが今不十分だというふうに課題が残されていると思います。これに真摯に取り組んでいただきたいということを要望して、終わります。

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