一般質問 令和3年6月15日定例会

2021/06/15

質問項目

答弁 >>

質問

地域行政制度とDXについて

中里光夫 委員

通告に従い質問します。

はじめに、地域行政制度とDXについて質問します。

地域行政の第一の目的は、地域住民に密着した総合的サービスの展開です。

二〇〇五年の「出張所改革」は、地域行政を後退させました。二十八か所の出張所のうち二十一か所を、窓口機能を削り、まちづくりセンターに変えました。残った七か所の出張所は大混雑。一方、まちづくりセンターの認知度は下がりました。

二〇〇〇年の区民意識調査では、最寄りの出張所を九六・一%の人が知っている、どの窓口に行くか分からないときは、とりあえず出張所の窓口に行くという回答が三二・一%でした。一方、二〇二〇年の調査では、認知度は七三%、まちづくりセンターを利用したことがあるは二〇・一%です。

この間、まちづくりセンターで行ったワクチン接種予約支援の取組は、身近な行政の本来あるべき仕事を改めて示しました。我が党として、電話がつながらないなど予約で混乱する多くの高齢者の声を受け、予約開始直後の四月三十日、情報弱者の高齢者支援などを申し入れました。多くの世論を受け、区が要請に応え、実施したことを評価します。この予約支援の取組は区民に本当に喜ばれました。ある町会の役員さんからは、ひとり暮らしの方を訪ねて四人分まとめて予約できたなどの声を伺っています。

まちづくりセンターが住民のために必要な支援を講ずれば、住民は利用するのです。

身近な行政としての地域行政は形骸化しているのではないか。身近な行政の拠点である出張所やまちづくりセンターの窓口機能と人員体制の強化が必要です。現状の課題と、区民と行政サービスを結びつけるために、地域行政をどう発展させるか、区の認識を伺います。

住民に近い窓口の強化、対面の業務の強化を進め、家から出られない区民にも行政サービスを届けるなど、まちづくりセンターを身近な行政の拠点として活性化するためにDXを活用するべきです。区の見解を伺います。

区立図書館について

中里光夫 委員

次に、区立図書館についてです。

区立図書館の運営体制について、あり方検討委員会の報告書が出され、それに基づいた区の考え方が示されました。

我が党は、二館の指定管理者導入の方針について、以下三点の立場で反対します。

第一に、指定管理者導入で明らかになっている課題への対応についてです。報告書は、国と地方の行政改革により、公共部門が担っていた行政サービスの多くが民間部門に委ねられるようになったと、民営化を追認、肯定する認識が示されていますが、あり方検討委員会では、日本図書館協会が公立図書館への指定管理者導入はなじまないという見解を示していることなどにも触れて、継続的、安定的な運営に課題のある民営化の弊害も議論されていました。

区立図書館でも、民間活用で人件費が下がっています。報告書では、指定管理者を導入した経堂図書館では、職員の三分の一程度が一年で入れ替わっているとの記述があります。検証を求めてきましたが、問題が放置され、改善策の提示はありません。図書館が公的役割を果たすには、専門性、継続性、安定性が必要です。民間活用で人件費が下がった、職員が定着しないなどの問題を放置したまま公的責任を果たせるのか、見解を伺います。

第二に、指定管理者の評価です。検討委員会には、民間評価事業者による評価が示されました。利用者からの質問や相談を受けるレファレンスの業務で経堂図書館の評価が高いことが注目されました。その中身は、PDCAサイクルの業務マニュアルを備え、スキル向上の取組をしている、直営館にはマニュアルがないということでした。しかし、これに対し、ある委員は、経堂図書館と直営館で同じ問いのレファレンスをしたところ、経堂では分からないと答えられず、直営館では、調査して後日回答してくれた。経堂図書館の評価が高いのは納得できないという指摘がありました。サービスの質や利用者の要求にどう応えているかという中身での評価が必要です。

また、座席管理システムや、農大との地域連携イベントを民間ノウハウとして評価していますが、これが民間でなければできないものでしょうか。

こうした評価を基に民間活用の導入もやむを得ないとしていますが、過大評価、あくまで業者による評価であり、実際に図書館を利用する区民の評価がないことは問題です。区民を交えて評価する必要があります。見解を伺います。

第三に、図書館運営協議会です。

図書館運営協議会は、図書館法に基づく図書館協議会を目指すことを求めています。住民参加で地域特性や住民要求を図書館サービスに反映することを盛り込み、その権限も明らかにすることです。図書館の民間事業者を構成員に加えるべきではありません。見直すべきです。見解を伺います。

今国会で成立した健康保険法等の改定について

中里光夫 委員

次に、今国会で成立した健康保険法等の改定についてです。

今般の社会保障制度改悪の問題の第一は、七十五歳以上の高齢者の医療費窓口負担が二倍化、二割負担となることです。対象となるのは、単身世帯で年収二百万円以上、夫婦世帯では合計年収三百二十万円以上です。高齢者から、経済的負担が大変、二倍になったら医者に行けなくなるなどの声が寄せられています。窓口負担二倍化は受診抑制につながり、高齢者の命と健康に直結します。政府は現役世代の負担軽減を口実にしていますが、国会論戦でその額は月約三十円だと明らかになりました。

問題の第二は、都道府県の国保運営方針に法定外繰入れの解消など保険料値上げ圧力を定め、国保の保険料負担を増大させることです。

自治体独自の法定外繰入れは保険料を抑える役割を果たしています。しかし、特別区は六年かけて繰入れを減らしていく方針です。今年はコロナ禍で保険料の値上げ幅を抑制しましたが、毎年値上げは続いています。

国は、法定外繰入れ解消の圧力をかけていますが、国保の運営主体である自治体には自治権があり、法定外繰入れは禁止されているわけではありません。

区長は、これまで国保の負担軽減を区長会で取り上げ、国への要望書を出してきました。国保料、高齢者の医療費二倍化など、区長は区民への影響をどう認識しているか、また、国保の法定外繰入れの必要性と今後の継続を求め、区長の認識を伺います。

国が就学前児童の均等割の半額を軽減する措置を決めましたが、不十分です。

区長は、国保の多子世帯への負担軽減など、区長会で取り上げ、国を動かしてきました。子どもの均等割の軽減やコロナ対策の減免について、国、都に拡充を求めるとともに、区独自の軽減を広げることを求めます。

見解を伺います。

保育について

中里光夫 委員

次に、保育について質問します。

保育待機児が二年連続ゼロとなりました。区の精力的な保育施設整備を評価します。しかし、自宅から二キロ以内に認可外の空きがあるという理由で待機児にカウントされない人が二百九十五人残されています。コロナ禍による経済状況悪化で今後保育需要が増加することも予測されます。引き続き分析を進め、今後の動向次第で整備を再開できるよう柔軟な対応をすべきです。見解を伺います。

今後の保育施策は
・増加する保育施設での保育の質の向上
・コロナ禍で孤立する家庭や虐待リスクなど支援が必要な子どもや家庭への予防型施策
・災害時や緊急時のセーフティネット強化。などの課題に取り組む必要があります。

平成三十一年策定の「区立保育園の今後のあり方」では、これらの課題を踏まえ、区立園は、子どもの育ちのセーフティーネットの役割を行政の責任の下、担うと規定されました。再整備や定員見直しなどを検討するとしていますが、まず、子どもの育ちのセーフティーネットという公的責任をどう果たすかという観点で検討すべきです。見解を伺います。

コロナ感染対策で、保育現場はエッセンシャルワーカーとしてその役割を担ってきました。子どもに対しても、感染力、重症化リスクが高いとされる変異株の広がりで、保育現場や保護者からは保育士などへのワクチン接種を早く行ってほしいという声が上がっています。

保育士などのエッセンシャルワーカーへのワクチン接種を優先して取り組むことを求めます。具体的方策や日程などを早急に示すことを求めます。見解を伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

保坂 区長

中里議員にお答えをいたします。

国民健康保険制度についてであります。

改正健康保険関連法は、今月四日に参議院本会議で可決、成立を見ています。主な改正点は、令和四年度後半から一定以上の所得のある後期高齢者の医療費自己負担割合を一割から二割に引き上げること。

一方、国民健康保険加入の未就学児の保険料均等割を令和四年度より五割減額することなどが内容です。

国保財政の決算補填目的の法定外繰入れは、早期の削減・解消が求められていますが、特別区長会では毎年この点について時間をかけた議論を行い、とりわけこの間、新型コロナ禍の経済状況等を踏まえて、令和三年度保険料算定に当たっては特別区統一保険料として毎年一%ずつ増やすことにしていた納付金の賦課総額参入割合を前年度と同一の九六%で維持することといたしまして、被保険者の負担を抑制いたしました。コロナ禍が厳しい経済状況、生活状況をつくり出していることに配慮して、当面は慎重な扱いが必要なものと思われます。

このたびの法改正に伴う医療費の負担割合増により高齢者が受診を控えることがないように、区としても注視していくとともに、今後も区民負担が急増しないよう、国保財政の運営に努めてまいります。

また、国に対して子どもの均等割保険料軽減の対象年齢を拡充せよと、必要な制度改正をさらに求めてまいります。

舟波 地域行政部長

私からは、区民と行政サービスを結びつけるために地域行政をどう発展させるかについて御答弁を申し上げます。

高齢化やコミュニティーの希薄化が進む中においては、大規模な人口を擁する自治体として、地区や地域において区民と行政が近い関係の下に行政サービスやまちづくりを展開する地域行政がより重要になると認識してございます。

地域行政の検討では、地区を重視した区民参加のまちづくりを図るため、地区の特性を生かした参加の機会づくりをさらに進めるとともに、デジタル・トランス・フォーメーションの考え方に基づくまちづくりセンターの行政サービスの見直しを検討の中心に置いております。

今般のワクチン接種予約の支援は、区民のニーズとマッチした取組の一例であり、日頃からの顔と顔の見える関係の重要性、区民同士のつながりを築くことの大切さを再認識する事例となりました。

今後、デジタル化の進展に伴うICT利用が困難な区民の方への対面サービスの充実や、DXの推進による本庁や総合支所とつながる仕組みの導入などにより、より多くの方にまちづくりセンターを御利用いただけるよう、区民の視点に立った検討を進めてまいります。

また、まちづくりセンター機能の強化などに合わせまして、職員育成や執行体制の見直しも検討してまいります。

以上でございます。

加賀谷 デジタル改革担当部長

私からは、DX推進によって職員体制による影響について御答弁いたします。

デジタル・トランス・フォーメーションは、デジタル技術の導入や活用をきっかけとしました行政システムの変革、変容により、デジタル化にとどまらず、区の将来のあるべき姿を見据えた業務改革の下に行っていかなければならないと認識してございます。

DXの推進により、区民の行動や区職員の働き方が変わることで、そこから生み出されました時間やコストを区民に還元でき、身近な場所での相談業務の充実など、ICTの利用が困難な方も含めまして、さらなる区民サービスの向上につなげることができるものと考えてございます。

コロナ禍を教訓としました区民の視点や困り事に立ち返りながら、行政手続や区役所のデジタル化による業務の効率化を図り、区民により身近な地域課題への対応にシフトできる組織体制の見直しにつながるよう取り組んでまいります。

以上でございます。

内田 生涯学習部長

私からは、区立図書館について三点お答えいたします。

まず、安定雇用と図書館の公的責任についてです。

現在、指定管理者制度を導入している経堂図書館では、業務要求水準書に適正な労働環境と勤務条件を保持する旨を記載するとともに、毎月の業務報告における名簿等により勤務状況を確認しており、安定的な雇用が確保されていると考えています。

また、指定管理料については、公契約条例に定める労働報酬下限額に基づき、毎年度協定により定め、指定管理者からの四半期ごとの収支報告で人件費についても確認しているところです。引き続き、こうした取組をより一層確実に実施することで、区立図書館の公共性のある安定的な運用を行ってまいります。

次に、区民を交えた評価についてです。

議員御指摘のとおり、区民を交えて評価することは重要であり、図書館運営体制あり方検討委員会でも、特に公募による区民委員から、利用者目線で御指摘や御意見をいただいたところです。

今まで、民間評価事業者による第三者評価や、指定管理者自らが行う自己評価、教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、利用者アンケートなど、様々な立場からの評価を実施してまいりました。

今後は、直営の図書館と民間活用した図書館の双方を対象とした魅力ある図書館づくりのより多面的な評価が必要と考えております。今後設置する(仮称)図書館運営協議会では、公募による区民や学識経験者、民間事業者など、多くの方に参画いただき、様々な視点から各図書館の運営状況等を評価してまいります。

最後に、(仮称)図書館運営協議会についてです。

直営の図書館と民間活用した図書館の双方において、区民や学識経験者等が運営やサービス水準を恒常的に評価していくガバナンスの仕組みとして、(仮称)図書館運営協議会を設置します。

各図書館の運営状況等を的確に評価するために利用者の視点も踏まえた評価が重要であり、新たな図書館サービス導入の提案などの運営に関わるとともに、各図書館の運営状況を客観的に評価する役割を果たすものと考えております。

(仮称)図書館運営協議会での意見や提案が図書館運営やサービス水準に反映されるように、図書館法の趣旨を踏まえながらガバナンス機能を十分に発揮できる体制と仕組みを検討してまいります。

以上でございます。

澁田 保健福祉政策部長

私からは、子どもの均等割の軽減や、コロナ対策の減免についてお答えいたします。

新型コロナ感染症流行の影響を受け、収入が一定程度以上減少した世帯を対象とした国民健康保険の保険料減免は、三月十二日の国からの通知で、今年度も引き続き同様の基準で減免を実施することとなりました。

子どもの均等割軽減につきましては、令和四年度から未就学児を対象として実施される運びとなりましたが、当区といたしましても、子育て支援のためにも十分とは言えない内容だと考えております。対象年齢の拡充など、必要な制度改正を引き続き国に働きかけてまいります。

本来、国民健康保険は全国統一の制度であり、その制度上の課題は国が責任をもって対応すべきものであり、当区をはじめ特別区では、今年度の保険料率算定に当たり、区民負担を抑制する判断をいたしました。

今後も引き続き、保険料等の急増が起こらないよう注意しながら、国保運営に努めてまいります。

以上でございます。

和田 保育部長

私からは、保育待機児について二点御答弁いたします。

まず、引き続き分析を進め、施設整備に柔軟に対応すべきについてお答えいたします。

区では、保育待機児がゼロになったこと、新型コロナウイルス感染症の影響による保育需要の見通しが不透明なこと等から、来年度の新規施設整備について公募を実施せず、新たな区の人口推計等を踏まえ、本年九月に保育施設整備を含めた今後の保育施策の方向性を示すこととしております。

また、御指摘の自宅から三十分未満で登園可能な距離の保育施設等に空きがありながら入所できていない申込者の状況の分析について、昨年度同様に進めるとともに、来年度には、子ども・子育て支援計画調整計画の策定を予定していることから、将来的な保育需要の分析を進めてまいります。

これらを踏まえ、今後の保育需要にも柔軟に対応し、保育が必要な方には保育の提供ができるよう、引き続き保育待機児ゼロの継続に向けた取組と保育の質の充実に努めてまいります。

次に、区立園の定員見直しと子どもの育ちのセーフティーネットについてお答えいたします。

区では、昨年度に続き二年連続待機児童がゼロとなったことから、区立保育園の弾力化定員の解消を進めているところですが、併せて区立保育園の役割の強化にも努めております。具体的には、緊急保育の充実、保育ネット等の地域の保育施設のネットワークを構築し、各施設の相談支援に当たるほか、風水害時をはじめとする緊急時の体制整備などの取組を行っております。

今後もさらなる弾力化の解消を進め、現場で働く保育士がしっかりと子どもと向き合い、さらに子どもを中心とした質の高い保育を実践し、また同時に、今後も区立保育園が地域や地区における身近な児童福祉施設として、子どもの育ちのセーフティーネットとして役割を担っていけるよう取組を進めてまいります。

以上でございます。

久末 住民接種担当部長

私からは、保育士等のエッセンシャルワーカーの優先接種について御答弁申し上げます。

保育園や幼稚園、学校においては、日々保育士や教員等が感染対策に注力しながら教育、保育を行っています。

多くの子どもたちと関わる中では、自然と接触する機会も多くなり、クラスター発生等にも注意が必要な環境となります。実際に変異株が広がり子どもの感染も増えている中で、保育士等への優先接種は必要であると認識しております。

今後、職域での接種をはじめ様々な手法での接種が進む中で、御指摘の保育士をはじめとしたエッセンシャルワーカーの優先接種については、早期に区として考え方を取りまとめてまいります。

以上でございます。

中里光夫 委員

区立図書館の運営についてなんですけれども、経堂図書館では年間三分の一の職員、これは三十二人中十人程度が入れ替わるということなんです。これでなぜ安定していると言えるのでしょうか。

そもそもこの三分の一も入れ替わってることが問題とならないことが、非常にそれ自体が問題だと思います。

実際に起きている問題に対処せずに、前のめりに次の指定管理者導入を定めようとしている、決めようとしていますけれども、こういうやり方は区民の理解を得られない、こう思います。

そのことを指摘して、質問を終わります。

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