予算特別委員会令和2年3月23日

2020/03/23

質問項目

 

質問

新型コロナウイルス感染拡大における今後の区政運営について

中里光夫 委員

 それでは、私からは、まず、新型コロナウイルス感染拡大における今後の区政運営について質問をしていきます。

 まず最初に、区長の基本姿勢についての質問です。

 今議会、我が党は、感染拡大の防止及び住民の命や暮らしを守る立場で、子ども、学校、事業者など、区民の声や実態を伝え、質疑を行ってきました。感染は世界的な規模で広がり、収束は見えず、経済及び市民生活など広範で長期な影響が予測されます。区民生活を守ることを区政運営の根幹に据えた、区が一丸となった努力が必要だと思います。

 我が党は今般の非常事態において、次の四点を区政運営の基本として臨むことが必要だと考えます。一、何より区民生活、福祉を守ることを区政運営の根幹に据えること。二、そのための区独自の対応を従来の枠にとどまらず迅速に行うこと。三、区民生活の実態を把握し、国や都に必要な財源、施策等を求めていくこと。四、区民生活のさまざまな負の影響について、人権の配慮及びそれを低減する施策を講じ、区民への丁寧な説明と理解を求める特別な努力を行う。以上4点です。

 区長はこれまで、憲法で保障されている基本的人権と平和を守る役割は、区民の生活に責任を持つ自治体の責務と言及されてきました。今般の非常事態に、この基本的姿勢の徹底した発揮を区民は期待しています。

 区長は、今般の事態での区民生活の実態をどう受けとめているか、今後、基本的人権と平和を守る区民の生活に責任を持つ自治体としての役割を、どう実現していくのか、伺います。

保坂 区長

 お答えします。

 新型コロナウイルスによる感染症の世界中での爆発的な広がりに伴い、人々の往来が制限され、経済活動は停滞し、リーマンショック以上の税収減も想定しなければならない。また、かつて経験したことのない危機的な状況が到来していると認識をしております。

 既に区内でも企業活動、区民生活に影響が生じており、最も身近な基礎自治体である区が、国や都の支援策に加えて、区民、事業者に寄り添った区独自の支援策を早急に行う必要があり、関係所管に検討を急がせているところでございます。同時に、大幅な税収減を想定した当面の財政負担の縮減に向けた、さまざまな事業等の見直しについても検討を指示したところでありまして、区民生活の影響を慎重に見定めた上で、計画事業について、先送りや休止等の決断もいとわない状況と捉えております。

 区民生活を支えることは基礎自治体としての責務であり、私は九十一万世田谷区のかじ取りを託された区長として、区議会議員の皆様や区職員、事業者、そして区民の皆様、全てとこの難局を乗り越え、区民生活を守るためリーダーシップを発揮してまいります。

中里光夫 委員

 それでは、今後の財政運営における基本姿勢について伺っていきます。

 リーマンショックを超える経済の影響が懸念されています。これまで各会派からも取り上げられてきましたが、区の財政の大きな打撃に対し、財政確保の努力は当然です。しかし、区財政が減収になるのは区民生活が大打撃を受けているからです。財源確保のために区民生活に冷水を浴びせる財政運営があってはなりません。

 あるフリーランスのカメラマンは、卒業式の行事撮影が立て続けにキャンセルだと。子どもは小学生、住宅ローンもあり、貯金もどこまでもつのか。ある工務店の方は、中国からの資材も入ってこなくなり、先が全く見えないなどなど伺っております。

 区は次年度から事業総点検などを進めるとしています。しかし、その基本に据えるのは新実施計画(後期)の行革の十の視点です。コストの削減ばかり重視するのではなく、行政の責任を明確にし、質の確保や政策目的を踏まえ、低所得者に配慮するなど、一層徹底していただきたいと思います。

 さらに、新実施計画についても見直すことが必要です。特に、今後控える本庁舎整備、新教育センター整備、そして梅ヶ丘図書館の建てかえなど、公共工事について一度立ちどまって精査する必要があります。何を優先するのか、区民理解は得られるのかなど視点を持ち、財政の見通し、考え方など区民にも明らかにして検討することが必要です。
今後の区の財政運営について、何を優先し、どうしていくのか、副区長に区の基本的姿勢を伺います。

宮崎 副区長

 今、影響額等は、もう他会派のほうで申し上げたとおりですけれども、今、委員のほうからもお話があった、区民生活のほうをまず守るということについては、もちろんこれを優先したい、こう考えております。

 その中で、今般の大きな影響が、今まで区民の方も遭遇していない方も、もちろんいらっしゃいますので、その辺のことを私たちの政策を含めても、わかりやすく説明しないといけないと思っています。もちろん、その中では、今おっしゃった計画物についての見直しをすると同時に、行政経営改革の十の視点については、例えば情報公開を進めていくことや、区民の方の御理解いただく中での計画だったわけですから、そのことをきちっとお伝えして、その上で、区民生活の影響を極力抑えるようなものを、やっぱり考えていかなきゃいけない、このように考えているところでございます。

中里光夫 委員

 しっかり進めていただきたいと思います。

緊急に対応が必要な高齢者施設について

中里光夫 委員

 次に、感染予防、区民生活を守るため、特に緊急に対応が必要な高齢者施設について質問をしていきます。

 高齢者、基礎疾患を持つ者が重症化のリスクが高いというのは既に科学的知見となっています。介護現場では、いつ感染者が出てもおかしくないという危機感が日々高まっています。

 我が党はこの間、区内特養ホームや小規模デイサービス等から聞き取り調査を行いました。まず深刻なのは、マスク、アルコール消毒薬、使い捨て手袋などの不足です。

 社会福祉法人東京都社会福祉協議会が都内特養ホームなど約五百七十施設に実態調査を行った結果、深刻な不足が明らかになったと伺っています。介護の現場では、おむつ交換や入浴・食事介助等、高齢者に至近距離で接し、排泄物にも直接触れます。通常から感染防止のために、一人の介助が終わったら手袋をかえ、手洗いをする、マスクやエプロン等をこまめにかえ、手すりやベッド柵などの消毒も徹底します。施設長さんからは、介護現場にとってマスクや消毒薬等の不足は恐怖。自分も高齢者の身も守れない。三月にマスクの在庫がなくなる施設も一定あることが調査でわかった。マスクを三日に一回交換するという施設もある。また、もし感染者が出たら、災害時のBCP、事業継続計画に準じて、二週間職員は施設に寝泊まりをする、こういう覚悟をしていると。現場の覚悟に対して区はしっかり支援してほしいと切々と語られました。

 区は三月上旬から、区の備蓄マスク七十五万枚のうち十九万枚を、区の窓口や子ども・若者施設などに配付したと聞きました。しかし、高齢者施設へは配付していません。

 高齢福祉部は、今、区内介護事業所にマスクなど在庫調査をしています。事業者さんからは、何のための調査なのか、マスクはもらえるのかなどの疑問の声が寄せられています。区として現場の物資不足等を把握しながら、今後どうするか、いまだに示されていないのは問題です。

 区長は介護現場の状況をどう受けとめているか、今後、介護施設の感染防止対策に区としてどうしていくのか、伺います。

保坂 区長

 お答えします。

 新型コロナウイルス感染症対策に必要なマスク等の衛生用品において、国内で大変需給が逼迫していることから、区内の介護事業者においても不足しているという声を私どもにもいただいております。このような状況を受けまして、区内の介護事業所におけるマスク、消毒用エタノール、その他衛生用品の在庫状況を確認するために、緊急調査を千百の介護事業所に実施しているところです。現在調査中ではありますが、マスクや消毒液を中心に衛生用品が不足している状況が見られることから、区としては感染予防の観点から迅速な対応が必要な状況と考えております。

 また、マスク等の衛生用品の配付の方法については、区全体で判断していく必要があると考えておりまして、具体的な内容については所管からお答えをさせていただきます。

中里光夫 委員

 直ちに区が在庫をしているマスクを配付する必要があると思います。また、消毒液など、必要な物資確保のために、区として国や都へも働きかけるなど、最大限努力する必要があると思います。見解を伺います。

田中 総務部長

 高齢者施設へのマスクの配付についてでございますが、東京都の緊急対応として、介護事業者向けマスク三万五千枚が今月下旬に区に納品予定となっていることから、まず、こちらを活用して介護事業所にマスクを配付したいと考えております。現在、サービス種別の事業所規模や業務内容等を勘案し、速やかに配付すべく調整をしているところでございます。

 介護事業所等における感染症対策に必要な衛生用品につきましては、国や東京都等からの衛生用品の供給などを活用するとともに、区が実施しております緊急調査の結果を踏まえ、区の備蓄の活用を検討するとともに、国や東京都へ必要な支援について働きかけてまいります。

中里光夫 委員

 現場では学校休校の影響も受け、人材確保に苦慮しています。また、デイサービス利用者が利用を控え、経営状況に影響も出ています。区としてこれらの実態を把握し、必要な措置を国や都に求める対応をするべきだと思いますが、見解を伺います。

長岡 高齢福祉部長

 新型コロナウイルスによる影響により、学校の臨時休業に伴う職員の休暇取得による人員不足、また、サービス利用者による利用の自粛など、マスク等の衛生用品不足以外の課題についても、介護事業所では苦慮しているというふうに伺っておるところでございます。

 国では、学校の臨時休業に伴う人員不足につきましては、施設間による応援職員の確保や、人員基準上の臨時的な取り扱いができること、また、デイサービス等の通所系サービスにつきましては、事業所の職員が居宅を訪問し、サービスを提供した場合の介護報酬の算定方法など、柔軟な取り扱いに関する通知を発出しております。区ではそれらの通知を迅速に区ホームページに掲載するなど、事業者への情報提供に努めております。

 現在の介護事業所の利用の状況につきましては、サービス利用者御自身による感染予防の側面もあるかと思いますが、介護事業所は小規模な事業所も多く、今回の事案によるさまざまな影響があるものと考えて受けとめております。今後、事業者団体とも情報交換を行いつつ、介護事業所の実態を把握し、機会を捉え、国や都に対し必要な対応を求めてまいります。

ふじみ荘の問題について

中里光夫 委員

 それでは、最後に、ふじみ荘の問題について質問をします。

 新実施計画後期計画で改修・存続方針であった、ふじみ荘の取り扱いが、一転して、ことし初めの政策会議で廃止方針へ転換されました。世田谷区は区民の参加と協働を基本に据えていると認識していますが、この問題では利用者や区民は、廃止というのは寝耳に水だというふうに言っています。区として、ふじみ荘の今後について区民の声を聞いてきたのか。

 こうした手続が、厚生会館の場合は廃止されたとき、議会に報告された後、「今後のあり方について」というテーマでパブコメが実施され、一年間にわたって区民の意見聴取や議会での議論も行われてきました。こうした手続が今回のふじみ荘では行われなかった。区民や利用者の声を聞いてきたのか、伺います。

松本 生活文化部長

 ふじみ荘の廃止につきましては、昨年秋に事業者の選定を行う予定にしておりましたけれども、事業者の参入意向がないということが明らかになっております。一方で、コストの面でも、厳しい高コストの状況にあるということを踏まえつつ、今後の高齢者人口の増加、あるいは、高齢者の孤立防止や健康寿命の延伸といったことが課題というふうに考えておりまして、そういった点から、ふじみ荘を廃止し、地域での社会参加の促進に政策転換を図るということを申し上げたところでございます。

 意思形成過程で区民の声を聞いたのかという点でございますが、この間、直接御意見を伺うということはしておりませんけれども、車座集会あるいは区へ直接御要望を頂戴しているところでございます。まさにこれから利用者の皆さんへ廃止の考えに至った背景、あるいは代替施設の説明を丁寧に行うこと、こういったことを申し上げてきております。利用者の皆さんへの説明と、声を伺うことによりまして、参加の機会の点も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。

中里光夫 委員

 つまり、区民の声を聞かずに政策決定、政策転換を行ったわけです。車座集会とか言いますが、それは政策決定した後の話ですから。区民への丁寧な説明と手続を欠いていた、このことは大変問題だというふうに思います。

 廃止計画についてはゼロベースで検討し、住民の声をしっかりと聞いて、ゼロベースで検討し直すことを求め、質問を終わります。

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