決算特別委員会 令和2年3月6日

2020/3/6

質問項目

 

質問

本庁舎整備と公契約条例について

中里光夫 委員

 それでは、私からは、まず最初に、本庁舎整備と公契約条例について質問をしたいと思います。

 公契約条例は、適正な入札、適正な労働条件の確保、経営環境の改善で、公共工事やサービスの質の確保、区内産業の振興、また地域経済の活性化などを図るということを目的としています。本庁舎整備が施工者選定の段階になってきました。地方分権・本庁舎整備対策等特別委員会には、施工者選定における評価項目などを検討する総合評価等検討委員会の開催が報告されました。しかし、そこで示された基本方針の中では、特に公契約条例には触れられていませんでした。

 条例の目的にもある区内産業の振興、地域経済の活性化を図るためにも、区内事業者が施工体制に組み込まれることが重要だと思います。こうしたことが事業者選定で考慮されるべきだと思います。また、本庁舎整備の本体の事業にかかわって、引っ越しなど付随するさまざまな仕事も出てくると思いますが、ほかにどのような仕事があるでしょうか。

佐藤 庁舎整備担当課長

 現在、施工者選定に係る検討を行っております本庁舎等整備事業に付随する工事につきましては、例えば旧玉川高校を仮庁舎として活用するための改修工事や、また、本敷地内の工事といたしましても区民会館の東側の噴水解体工事、また、第二庁舎の地下に印刷室などを移転するための改修工事、また周辺道路整備などがございます。その他、工事以外にも、本庁舎等整備事業に関連して、机やキャビネットなどの什器や備品などの購入、また、ICT関連のネットワーク工事、防災システムの機器の設置、移設などの業務を本体工事の進捗などに合わせまして別途発注していく予定としております。

中里光夫 委員

 そうした工事であるとか、物品購入であるとか、これは本体の一括で発注するものとは別に起こる契約だということだと思いますけれども、それらについては、やはり地元業者に積極的に発注していくべきだと思いますが、どのような仕組みになっていますか。

渡邉 経理課長

 ただいま庁舎整備担当課長が御答弁した内容につきましては、概略かなと思います。実際はもっと細かくいろいろと案件として出てくるものかと思ってございます。具体的には、それぞれの契約案件を経理課として判断してまいりますけれども、これまでも基本的には区内事業者を優先的に発注してきておりますので、これまでの例に倣って発注していくものというふうに考えてございます。

中里光夫 委員

 そうした付随するものも地元業者優先でしっかりと進めていただきたいと思いますが、何より区が発注する公共工事としては最大規模になるのが本庁舎整備です。この本庁舎整備にあっては、その施工者選定においても当然公契約条例を踏まえるべきだというふうに考えますが、区の見解を伺います。

渡邉 経理課長

 先ほど委員のほうからも御紹介がありましたけれども、公契約につきましては、公契約において適正な入札を実施し、従事する労働者の適正な労働条件を確保、また事業者の経営環境の改善を図ることを目的としてございます。具体的には、労働報酬下限額の適用による労働者への適正な賃金の確保、あるいは事業者の適正な労働時間管理を初めとする環境の改善、また、入札制度の改革による経営環境の改善等に取り組むことが求められてございます。これらの取り組みに向けましては、工事、委託業務にかかわらず、また元請けだけでなく、下請け事業者、そこで働く方々への公契約条例制度の周知と労働報酬下限額の適用など、実効性の担保が重要と考えてございます。

 本庁舎等整備事業も公契約条例の対象であることは言うまでもなく、現在進められております施工者選定に係る検討委員会においても、委員の皆様が区に公契約条例が制定されることを既に十分御承知の上で検討、議論をいただいてございます。

中里光夫 委員

 公契約条例をしっかりと意識して選定の項目づくりも進めていただきたいというふうに思います。

 公契約条例を推進してきた区民が毎年シンポジウムも開いていますが、その中でも、公共工事の現場では実際には賃金水準がまだまだ低い、下請や孫請にチェックが及ばないなど、条例の実効性の上での課題が指摘もされています。社労士による現場の実態調査、指導なども幾つか行われましたけれども、この区役所の現場でもこうしたことに取り組んでいくべきだというふうに考えます。

 本庁舎整備の施工者については、この十月にも決まり、工事も始まっていきます。特に区の本庁舎整備の現場で公契約条例を遵守させ、そして区内公共工事のまさにモデルとなるような、そういう現場にしていくことが大事だというふうに思います。現時点での区の意気込み、どのように取り組んでいくか伺います。

進藤 財務部長

 公契約条例の基本方針には、工事請負等の質及び適正な価格が確保されるために、正確な積算等着実な事業計画に基づき公契約が締結されること、また、公契約の履行過程において法令が遵守され、並びに公正な労働基準が確保され、及び向上されることにより、適正な労働条件が確保されるべきことがうたわれております。

 本庁舎整備事業はかつてない大規模な工事として注目もされており、当然、公契約条例に基づき確実に遂行されなければならないというふうに考えてございます。区としましては、この基本方針にのっとり、事業者選定に当たっては、区の公契約条例について正しく御理解いただいた上で入札に御参加いただき、いずれの事業者が落札いたしましても公契約条例の確実な遵守を求めてまいります。

中里光夫 委員

 ぜひしっかり取り組んでいただいて、現実に現場の労働者の賃金が上がっていくとか、しっかりとした質の高い工事が行われる、そういうことが大事だというふうに思います。

上用賀公園整備におけるPFIなどの手法検討の問題について

中里光夫 委員

 では、次に上用賀公園整備におけるPFIなどの手法検討の問題について質問していきたいと思います。

 上用賀公園整備について、PFIなどの民間活用の手法が検討もされています。我が党は、この民間活用については、行政の責任を投げ出してしまうような、そういう民間活用、民営化というものではなくて、区民サービスの向上、質の確保、経費の縮減となるよう行政が公的責任を果たしていくことが大変重要だと考えています。公園におけるサービスの向上、質の確保ということで言えば、区民のスポーツの振興、スポーツの場となる、また憩いの場になる、防災などの見地、こうした行政目的をしっかり果たすものとなる、また、安定した運営、そして区民に情報を公開し、区民の意見を反映させたものにする、そういうことが大事だというふうに考えています。

 新実施計画の行政経営改革の十の視点、その視点六では、民間活用や官民連携によるサービスの向上とコスト縮減という項目があります。サービスの向上やコストの縮減が図られる場合には、行政の責任を明確にして質の確保に十分留意しながら進めていくということが書かれています。

 例えばこの民間活用、保育の分野では、今は私立認可保育園が中心となっていますけれども、保育の質を守るということを中心に、例えば慎重な事業者選定であるとか、人件費率や財務状況をチェックする仕組みであるとか、保育内容を巡回してチェックする、あるいは保育士確保の支援を行うなど、さまざまな仕組みがつくられてきました。行政の責任、質の確保などの視点で、上用賀公園整備についてもしっかり検討していくことが必要だというふうに思います。

 まずはパークPFIについてです。PFI等手法導入の検討(仮称)上用賀公園施設整備事業についてという文書によりますと、パークPFI制度を活用して、特定公園施設の効率的、効果的な整備を行うことを前提とし、民間収益施設として、カフェ、駐車場、多目的広場(フットサルコート)を想定するというふうに書かれています。パークPFIは、規制を緩和し、収益事業を行えるようにして、そして、その収益によって区の財政負担を軽くしていこうという仕組みであります。パークPFIにあっては、収益事業を優先して区民サービスが低下するようなことがあってはならないというふうに思います。また、収益事業が破綻する、こういうリスクもあります。先ほど保育の例を出しましたが、保育では企業主導型保育園が破綻して問題となったというのも記憶に新しいところです。区民にとってのメリット、デメリットを含めた慎重な検討が必要だと思います。

 新たなパークPFIの制度を使って、例えばカフェの規模が大きくなる、それがいいのか、あるいは収益施設としてのフットサルコート、これはどういうものか。今民間では、区内では一時間五千五百円から一万四千円という価格でフットサルコートは貸し出されています。そういうことにしてしまうのか。あるいは、公共のスポーツ施設として利用料が安くて質の高い安全なスポーツ施設となっていくのか。こういったことが、それぞれ区民サービスの点、そして事業の安定性、区の責任として検討していくことが必要だというふうに思います。

 こうした区の責任として検討していくことが必要だと思いますけれども、区の見解はいかがでしょうか。

岡部 副参事

 上用賀公園施設整備事業におきましては、現在、基本構想案を取りまとめたところでございまして、事業手法や施設の運営方法などにつきまして、PFI手法であったり、パークPFI制度などの官民連携手法の導入可能性を含め、今後具体的に検討を進めてまいります。

 例えば体育館に関しましては、指定管理者制度による運営を想定しておりまして、区が区民の利用料の上限を定めたり、公平な料金設定を行う予定でもございます。御指摘のカフェの規模であったりフットサルコート、そういった運営方法等につきましては今後の検討課題でございまして、例えばカフェの規模をどの程度にすればよいのか、また、設置許可により民間の採算事業としてフットサルコートを整備、運営して、区は使用料収入を得るなど、事業スキームが成立するかなど検討を進めてまいります。

 今後の事業の実施に当たりましては、事業採算性ばかりを重視するのではなく、事業の内容が区民にとってよりよいものなのかどうかという視点も含め総合的に検討を進めてまいります。公共施設という前提に立った上で、区民サービスの向上と質の確保、コスト削減の視点というものを基本に、安全で区民のスポーツ需要に応えるスポーツ施設の施設機能、災害時の広域避難場所や災害応急活動に資する役割を含めた機能、緑をつなぎ広げる空間の確保というところで進めてまいります。

中里光夫 委員

 質であるとか区民サービスの向上、そして行政の責任、そういった視点が大変重要だと思います。そうした点でしっかりと検討していく必要があると思います。

 パークPFIを導入しなければどうなるのか、区民が利用するスポーツ施設などをより大きく確保できるんじゃないだろうかと、さまざまな条件を区民にわかりやすく示して、区民の声を聞きながら検討することこそ必要だというふうに思います。事業採算性など、さまざまなお話もありましたが、そうした情報を区民にしっかり示し、区民が判断する、そうしたことが必要ではないでしょうか。区民サービスの向上や区の責任を明確にする、その仕組みが必要です。

 その一つが情報公開だというふうに思います。この事業者選定にかかわってなんですが、来年度、事業の検討を協働で行う事業協力者を選定するというふうに区はしています。その企業がこの後の事業本体を受注する可能性も大きいんじゃないでしょうか。現在行われている通常のプロポーザルは、提案の内容や評価内容も情報公開の対象ではありません。選定過程が区民や議会からも見えません。また、サウンディング調査もやられたという話ですが、このサウンディング調査も情報が非開示だというのは、これまで私たちが指摘してきたところでございます。

 一方、ことし一月に策定された指定管理者制度運用に係るガイドラインでは、事業者選定がどのような過程を経て選定されたか、積極的な情報の公表が求められているとして、選定方法や選定結果の詳細を公表することが規定されています。サウンディング調査であるとか、今回の協力会社の選定は、事業本体の業者選定に匹敵する透明性や公正性の担保が必要ではないでしょうか。指定管理者ガイドラインの水準の情報公開、その仕組みをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岡部 副参事

 事業者選定の際の透明性や公平性を確保することは重要な課題であるというふうに認識しております。そのため、事業協力者は原則公募により選定いたします。事業者選定の透明性を高めていくことは重要であると考えておりますが、一方で、参加事業者のノウハウなどにかかわる情報の公開は、事業者の権利、利益にかかわるものであるため慎重に検討を進める必要があると考えております。区民と事業者の双方の視点に立ち、どのような情報を公開すべきかということを見きわめ、事業者選定の透明性を確保いたします。

 今後、委員からお話しのありました指定管理者ガイドラインというものを参考に、どのような情報公開ができるかというところを見きわめ、情報公開の方法というものも検討してまいります。

中里光夫 委員

 情報公開は非常に重要ですので、しっかりと進めていただきたいと思います。

全体の事業手法について

中里光夫 委員

 次に、全体の事業手法について質問したいと思います。公園全体の事業手法として、従来方式、DBO方式、PFI方式(BTO)と三つの手法が検討対象として挙げられています。この三方式は、大きく二つの要件によって分類されています。一つは発注方式ですね。これです。従来方式は分離発注。そして、この分離発注というのは、設計、建設を個別に発注する、維持管理や運営は直営か民間委託かなどを判断する。そして一方、DBO、PFIは一括発注、一体運営です。設計、建設、維持管理、運営まで全てを一つの会社に一括して発注するという方法。そしてもう一つの分類の仕方が、資金の調達の仕方です。従来方式とDBO方式は区が資金を調達する、そしてPFIは民間資金の調達ということになります。こういう二つの要件で三つの方法が出ている、こういうふうに示されています。

 まず資金調達の方法に関して質問をしたいと思います。時間がなくなってきました。区が資金を調達する場合、区債を起債することになります。区債を発行することになります。これは後から少しずつ返済していくということになります。一方、この場合ですね、民間事業者が資金を調達する場合は、民間事業者は銀行や出資者から資金を調達する、あとは区が後から分割で事業者にその資金負担について支払っていくという仕組みです。こうして見ますと、どちらの方式も借金して施設などを整備して後から返済していくということで、基本的な形は同じようなものになります。起債した場合と、民間資金を利用した場合の金利はどうなっているでしょうか。

岡部 副参事

 区が民間の金融機関から資金調達を行い、起債する場合の金利は現時点で〇・一%程度でございます。また、PFI手法導入の場合の民間事業者の調達金利におきましては、国の手引きを参考に一・八%というふうに設定しております。

中里光夫 委員

 区債の場合は〇・一%、民間は一・八%と大変大きな開きがあるということです。民間資金ははるかに高い金利だと。

 それから、区が区債を起債した場合、その残高は、区債残高として財政の資料でいつも私たちは目にするわけですが、民間調達の場合の残金はどのように見てくるんでしょうか。

岡部 副参事

 PFI手法を導入する場合に際しましては、対象による事業を選定した後に複数年にわたる契約を結ぶ必要がございます。債務負担行為による議会の議決を得る必要がございます。また、翌年度以降につきましては、予算説明書において、当該年度の予算計上額と後年度の債務負担額の総額を明記し、お示しすることができます。

中里光夫 委員

 起債した場合は、区債残高として毎回私たちは資料を見せられるわけですが、民間調達の場合は債務負担行為の残高と、これは予算書を見れば出てきますけれども、我々はなかなか目にすることはありません。目に見えない借金というふうになっていく危険があります。

 また、先日の一般質問で破綻した例なども私たちは紹介してきましたけれども、民間企業の場合は事業から撤退したり倒産したりするリスクがあります。事業が破綻した場合の資金調達の面からはどのようなことが想定されるんでしょうか。

岡部 副参事

 PFI事業では、施設の設計、建設、維持管理、運営を一括して発注するため、事業に参加する事業者は複数で共同事業体を組むケースが多く、個々の事業者の経営状態がPFI事業に悪影響を与えないよう、それぞれの事業者が出資をして独立した特定目的会社というものを設立し、事業を実施することが想定されております。この仕組みによりまして、事業の安定性と継続性は一定程度確保できるというふうに考えております。

 仮に事業者が破綻した場合、契約を解除した上で、施設を区が買い取り、事業の継続に向けて新たな事業者を選定するか、区が直営で事業を実施するかを判断することになると考えられます。また、施設の買い取り価格や違約金、損害賠償等について、契約規定にあらかじめ規定しておく必要があるというふうに考えております。
事業者の破綻リスクというものを想定し、可能な限り施設利用者や区にリスクや影響が生じることがないよう、他自治体の取り組み事例といったものを検証した上で、区と事業者のリスク分担を明確にしてまいります。

中里光夫 委員

 リスク分担をしていかなきゃいけないということですが、これはリスクがあるということで、そこをいかにきちんと見ていくことができるのかというのが大変重要になってくるんだと思います。

 金利を見ると、民間資金は調達コストが非常に大きい、負債の見え方も民間調達は見えづらい、隠れ借金のようなものになりやすい、そして事業撤退や破綻のリスクもある、こうしたことを考えれば民間資金調達は問題が非常に多いと思います。こうしたことをしっかりと検討していく必要があると思います。検討の過程でこうしたことをしっかり検討する必要があると思いますが、いかがですか。

岡部 副参事

 委員御指摘のとおり、来年度、具体的な検討に入っていきますので、そこは詳細に、委員がおっしゃったところのリスクを検討しながら進めてまいります。

中里光夫 委員

 発注方法のほうもやろうと思っていたんですが、時間ですので、以上で終わりにします。

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