区議団ニュース 2023年11月号

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来年度以降も給食費の無償化継続へ

 4月から給食費無償化が実施されていますが、1年限りの予算措置でした。今議会で、保坂区長より来年度以降の給食費無償化について継続方針が示されました。

 区長は「本来は国が責任を持って取り組む課題」としたうえで、これまでの経済対策に加え「義務教育無償化を進める観点からも給食費の無償化を継続する判断をした」と発言しました。

 代表質問で、たかじょう訓子区議は、無償化継続にあたり更なる充実を求めました。

国の責任で給食費無償化実現を!

東京23区全てで給食費無償化が実現しましたが、多くの区では時限的な措置として1年限りの実施です。多摩地域では主食を持参する「補食給食」や牛乳のみの「ミルク給食」など、「完全給食」が実現していない自治体もあります。
給食は教育の一礫です。義務教育無償の実現に向け、国の責任で完全給食を無償で提供するべきです。早期実施を求めていきましょう!

地球沸騰化 機構危機対策、本気の取り組みを

 気候危機を抑えるために2050年までにCO2排出を実質ゼロにしなければなりません。区としての本気の取り組みが必要です。CO2削減のために、窓を二重窓やペアガラスにしたり、壁や天井に断熱材を入れる建物の断熱化が有効です。

 世田谷全体で脱炭素化・省エネ化を進めるために、区が率先行動すべきです。真夏の暑さに冷房が効かない学校の教室、区営住宅、公共施設の断熱化を求めました。学校では「モデル校で最上階の断熱実証実験を行い手法の検討をする」区営住宅では「定期的な改修の時に断熱化を行う」公共施設全体で「指針を作って取組む」と答弁がありました。

 また、民間事業者の施設の省エネ化・断熱化を進めるために、中小企業向けの省エネ相談や、事業所向けの助成制度を求めました。区は「エコ住宅補助金を今後は事業者にも対象を拡大することも視野に、さらなる充実を検討する」「脱炭素に向けた断熱・省エネの取り組みは、中小業者の経営安定・継続にとって重要」「経営相談を通じて、情報提供や支援策への誘導を図る」と答弁しました。

 区の目標である2030年までの温室効果ガス66%削減実現に向け、引き続き取り組みます。

関東大震災から100年 世田谷区での朝鮮人虐殺事件

 1923年9月1日に発生した関東大震災から、今年でちょうど100年がたちました。

 震災直後「朝鮮人、社会主義者が井戸に毒を入れた」「暴動を起こしている」などの事実無根のデマが流され、軍隊と警察に加え、民衆で組織した自警団により朝鮮人、中国人、社会主義者など6千名以上が虐殺された事件が起きました。

 世田谷区においても、当時、烏山、太子堂で起きた朝鮮人虐殺事件について、議会での議論があり、今年9月1日から30日までの1ヶ月間、世田谷区立平和資料館で、「災害と平和」という企画展が実施されました。

 警視庁の当時の資料や新聞では、烏山では1923年9月2日、住民らによってトラックに乗っていた朝鮮人十数人が殺傷され、現在の三軒茶屋駅周辺でも、品川方面から護送中の朝鮮人が猟銃で頭を撃たれて殺害されたと言います。

 代表質問で、企画展の更なる充実と継続や、区史編纂への反映と歴史に向き合うことを求めました。

 区長は「区内で実際に起きた悲劇の教訓を次世代に語り継ぐため、機会をとらえて発言し歴史に刻むことが大変重要だと思っている」と答弁しました。

行政計画に「有事への対応」の表記
戦争準備は地方自治来の役割ではない

 区では、「世田谷区公共施設等総合管理計画」について、新たな課題に対応するための一部改訂の策定がすすめられています。
新たな課題として、「自然災害や有事の際への対応が必要」としています。自民党は9月の区議会で、武力攻撃事態が起きた時の詳細なリスク分析を行う事を区に求めて、有事発生が前提であるかのような質問を行いました。

 10月3日の決算特別委員会で中里光夫区議による、「有事というのは戦争の事を指すのか」の質問に対して区は、有事が武力攻撃事態を指すことを認めました。中里区議は、「戦争準備は自治体の仕事ではない。国際間の紛争は国が平和的外交で解決すべき問題であり地方自治体がそのような心配をしなくてもいいように、国に対して意見をあげる事こそが世田谷区の役割だ。有事への対応の記述は削除すべきだ」と保坂区長に迫りました。

 区長は「住民の生命、財産を守ることを基本にしながら、平和的な解決、平和の環境の維持を国や社会の合意にしていく役割を果たしていくべき」と答弁。中里区議は、世田谷区が自らの計画に有事を盛り込む姿勢そのものが戦争へとあおる役割を果たしてしまぅ。そのような姿勢を世田谷区はとるべきではないと強く求めました。

どうする?災害時の在宅避難

 災害時、避難所にすべての区民を受け入れることは到底無理であり、在宅避難が基本となることがまだ区民に知られていません。ケガがなく、住居にも危険な損傷がなければ、多少不便であっても、自宅で避難生活を送ることが求められています。
世田谷区では、発災後4日から1週間後にかけて在宅で避難生活を送る人は、約66万8千人、73%と想定されています。
しかし今、区が示しているのは、在宅避難で必要なこととして、①自宅の安全対策、耐震化、家具の転倒防止②1週間分の備蓄③情報手段の確認の3点。それ以外のことについては、まったく見えない状況です。

 避難所マニュアルだけでなく、在宅避難のマニュアルも必要です。日本共産党区議団は、これまでも周知啓発を求めてきましたが、動画などでイメージできる工夫、区民が、「在宅避難」について、自分の問題だと思っていなかった、ということがないよう、在宅避難者支援プランの取りまとめを早急に行うよう求めました。

 また、支援物資配布、とりわけ要配慮者への支援体制・個別計画の作成については、支援者の確保、支援する側の町会・自治会の高齢化など多くの課題があります。日頃の生活の中でのつながりが非常時には生かされます。混乱をいかに少なくできるのか、地域コミュニティーの支援のネットワークをどう作るか、必要な支援を届けるためのさらなる工夫を、要望・希望をつかみ、地域、地区の実情をつかみながら議論を重ねることなど引き続き求めていきます。

首都直下型地震から区民の命守れ

 今後30年の間に、マグニチュード7クラスの地震が発生する確率は70%と言われており、いつ震災があってもおかしくありません。在宅避難の重要性が高まっている中、住宅の耐震化の推進が求められています。

 1978年に発生した宮城県沖地震の被害を受けて、1981年に耐震基準(新耐震基準)が改正され、その後、阪神・淡路大震災をきっかけに、耐震基準(2000年基準)のさらなる改正が行われました。

 しかし、区の現行の耐震化支援事業は、1981年以前に建てられた木造建築物のみへの支援に留まっています。耐震化支援の対象を2000年以前の建物へと広げるべきと求めてきました。

 区は、「耐震化支援制度導入の検討を先行させながら、令和8年度からの耐震改修促進計画改定で2000年基準以前の木造住宅の具体的な耐震化の目標も定め、計画的に進める」と答弁しました。

東京都が今年度から2000年基準

 東京都によると、2019年時点で2000年基準を満たさない住宅は約76万戸と推計しており、これらを全て耐震化すると、最大震度7クラスの地震が起こった場合の建物倒壊による死者数を、現時点の想定よりも約8割減らせると見込んでいます。

 

 

インボイス制度の延期求める意見書が
自公維などの反対で否決

 9月29日の世田谷区議会本会議において、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)について延期も含め慎重に検討することを求める意見書」が超党派での議員提案として提出されました。

 川上こういち区議は賛成討論で、「課税売上高が1000万円以下の消費税免税事業者は、取引先からインボイスの登録をするのか、それとも消費税相当分の値引きをするか、どちらかを選択せよという地獄の二者択一を迫られている」「インボイスで小さいながらも住民に親しまれつづけてきた商店の廃業や、クリエイティブに満ちた未来ある若い才能をつぶすことなどあってはならない」と訴えました。
この後、意見書の採決が行われ、22対27で否決されました。

 多くの方で傍聴席が埋まり、否決されると「何故反対意見をのべないのか」などの声が傍聴席からわきあがりました。また、悔しくて涙を流した方がいらっしゃいました。

 消費税減税、インボイス中止を求め続け、区内中小・零細業者の営業、フリーランス、クリエイターの仕事を守るため引き続き力を尽くします。


核兵器票止条約日本政府も
オブザーバー参加を→意見書採択

 超党派の議員が提案した「核兵器禁止条約第2回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求める意見書」が34対15の賛成多数で可決されました。

 国連で、2021年に発効した核兵器禁止条約は、署名93の国と地域、批准69の国と地域(2023年9月現在)へと広がっています。
日本共産党は、坂本みえこ区議がこの意見書について賛成の意見を述べ、日本政府がすみやかに核兵器禁止条約に参加すること、第2回締約国会議に少なくともオブザーバーとして参加し、核兵器の被害者支援をはじめ、現時点でも協力できることを行うことを強く求めました。

 また、1985年に行われた「世田谷区平和都市宣言」が区議会の総意として全会一致で生み出されたことを紹介し、今回の核兵器禁止条約締約国会議への日本のオブザーバー参加を求める意見書も区議会の総意として採択されるよう求めました。

ジェンダー平等を進めるために、男性も自覚を深めよ

 ジェンダー平等を進めるためには男性も自覚を深める必要があります。例えば電車に乗るとき恐怖を感じませんが、女性は違います。中里光夫区議は、共産党都議団が行った痴漢実態調査を示し、女性にとって深刻な問題を男性が自覚するために、女性の意見を取り入れること政策決定の場での女性の割合を増やすことの重要性を訴えました。あらゆる制作の立案、実施にあたってジェンダー平等を推進する「ジェンダー主流化」の視点から区の制作・事業を点検するプロジェクトチームの設置を提案しました。