一般質問令和2年9月16日定例会

2020/09/16

質問項目

答弁 >> 

質問

子ども一人一人に寄り添った教育の実現を求め

 質問通告に従い、伺います。

 初めに、子ども一人一人に寄り添った教育の実現を求め、伺います。

 まず、少人数学級の推進についてです。

 この間、現場の教員や校長からもお話を伺いました。分散登校時に二十人程度の授業を経験した教員から、子どもの理解度や様子がはっきり分かる、子どもが落ち着いているなど、少人数学級の効果が語られました。小学校と中学校を視察しましたが、四十人近いクラスでは、感染予防に必要とされている社会的距離は確保できません。

 七月三日、全国知事会、全国市長会、全国町村会の三団体が少人数編成を可能とする教員の確保などを求める緊急提言書を連名で提出しました。少人数学級の実現は、自治体からの強い要望であり、我が党も賛同するものです。

 国も、いわゆる骨太方針二〇二〇に少人数による指導体制の検討を盛り込み、導入に向けての検討が進んでいます。早期実現に向け、区として積極的な対応が必要と考えます。教育長は、さきの議会でも少人数学級の有用性について答弁されました。少人数学級の早期実現を国、都に求めていただきたい。見解を伺います。

 次に、不登校対策、ひなぎく学級について伺います。

 今般、令和四年を目途に不登校特例校分室型設置の方針が示されました。不登校特例校とは、学校教育法に基づく学校の一種であり、教員が配置され、不登校の児童生徒の状況に合わせた緩やかな教育課程、少人数や個別の対応によりきめ細やかな指導が行われます。

 世田谷区における不登校児童生徒の数は、令和元年度で八百二十五名に上り、さらに増加することが見込まれます。多様な居場所が求められる中、在籍校には通えないが学びたい子どもたちの受け皿が必要であり、区が不登校特例校に取り組むことを評価します。

 これまで世田谷中学に設置された情緒障害通級指導学級ひなぎく学級で不登校の中学生を受け入れてきました。ひなぎく学級は、教員による少人数や個別の手厚い指導が行われ、既に不登校特例校の役割を果たしてきました。卒業生はほぼ進学をしています。社会人となった卒業生からお話を伺いました。ひなぎく学級での授業はよく分かり、学ぶことの楽しさを知った。自分を取り戻すことができ、将来への希望も持てたと語ってくれました。

 不登校生徒へのひなぎく学級が果たしてきた役割は大きく、子どもに寄り添い、学習を支援し、成長を支えてきた教育実践を評価します。不登校特例校設置の意義について、区の見解を伺います。

 また、開設に当たり、ひなぎく学級で積み重ねてきた不登校生徒に対する教育実践の継続を求めます。見解を伺います。

介護職確保について

 次に、介護職確保について順次伺います。

 まず、介護職確保ができずに満床にできない特養ホームの対応です。先般、厚労省所管の介護労働安定センターによる介護労働実態調査結果が示されました。事業所の約七割が、介護職員が不足と回答、近年では最悪です。恒常的な介護職不足にコロナ禍が拍車をかけています。区内でも、開設後、三、四年たってもいまだに満床にできない特養ホームがあります。事業者任せでなく区の責務として、こうした実態を繰り返さない積極的な支援を求めます。見解を伺います。

 次に、総合的対策です。第八期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画素案において重点取組に介護人材の確保・定着支援が明記されたことは重要です。我が党は、かねてより特養ホーム千人分計画に見合う介護人材確保策強化を求めてきました。全産業と比べて賃金が月十万円低い介護職の処遇改善や社会的評価の向上など、総合的対策が必要です。現場の声を聞き、家賃助成拡充など、対策強化を求めます。見解を伺います。

多様な人材について

 次に、多様な人材についてです。外国人受入れの問題では、国は二〇一八年、深刻な人材不足を理由に出入国管理法改定、在留資格特定技能を設け、介護業には六万人の外国人特定技能実習生を受け入れるとしています。区の介護現場で働く外国人労働者の人権、労働条件が守られるとともに、介護職としての育成、定着支援が必要です。既に、区内には社会福祉事業団等による外国人留学生育成のためのコンソーシアムもあります。連携も図り、日本語・日本文化取得支援や研修など、準備を進めることを求めます。見解を伺います。

産業振興基本条例について

 次に、産業振興基本条例について、三点伺います。

 区は、令和四年五月を目途に条例の見直しを行うとしています。八月三十一日に開催された産業振興基本条例の見直しのための検討会議では、消費税増税に加えコロナ禍が重なっており厳しい経営状況であることや、事業継承の課題、住職近接のニーズなどが挙げられました。条例見直しに当たり、コロナ禍により変化した区民生活、区内事業者の経営状況、業態など、現状把握が必要です。改めて実態調査を行うべきです。見解を伺います。

 平成二十六年の小規模企業振興基本法制定により、小規模事業者への支援を行うことが自治体の責務として盛り込まれました。我が党は、団体支援にとどまることなく、個店など事業者への支援を位置づけることを求めてきました。今般、コロナ対応として個店への支援が盛り込まれたことを評価しています。条例見直しに当たり、区内事業者の九割を占める中小企業、個店など事業者支援を条例に位置づけることを求めます。見解を伺います。

 農業施策についてです。二〇二二年に期間終了を迎える生産緑地の問題への対応では、都市農地保全策の強化が求められています。農業施策について、産業発展の視点だけでなく、SDGs、持続可能な地域社会の構築、環境の視点を位置づけ、都市農地の保全に取り組むことを求めます。見解を伺います。

千歳烏山駅周辺地区のまちづくりについて

 最後に、千歳烏山駅周辺地区のまちづくりについて伺います。

 七月、千歳烏山駅周辺地区地区計画・街づくり計画の素案の説明会が開催されました。用途地域の変更と再開発の誘導などを可能とする条件整備が盛り込まれています。駅南側では、近隣商業から商業地域に、都市計画道路二一六号線沿道の区域も一部、第一種住居地域から近隣商業地域に変更としています。参加者からは、住環境が変わるのではないかなど、不安などが寄せられました。はがき、またネットなどから多数の意見が寄せられています。地区計画は、住民の声に応えながら策定する必要があります。具体的に区としてこうした声にどのように応えていくつもりなのか、見解を伺います。

 また、駅前広場の南側は再開発の導入が想定されています。導入することになれば、町が大きく変化します。税金も投入されることになります。この機会に、広範な住民とともにまちづくりについて話し合うことが必要です。三軒茶屋地区のまちづくりでは、近隣大学に通う学生や職場を持つ方なども参加したワークショップを開催し、広範な方々がまちづくりに参加しています。千歳烏山駅周辺地区のまちづくりにおいて、広く地域の住民、職場を持つ方、近隣大学、高校などにも呼びかけ、ワークショップなどに取り組むことを求めます。見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

渡部 教育長

 少人数学級の推進について御答弁申し上げます。

 少人数学級につきましては、子どもの理解度や興味関心を踏まえたきめ細やかな学習指導や、一人一人の課題に即した個別指導の充実につながるものと捉えております。私は、これまで少人数学級の導入に向け、特別区教育長会などを通じて国や東京都に働きかけを行ってまいりました。現在、国においても少人数学級の導入に積極的な議論が行われておりますので、国の動向を注視しながら、引き続き早期実現に向けた働きかけを行ってまいります。

 以上でございます。

池田 教育政策部長

 私からは不登校対策について御答弁いたします。

 世田谷中学校に設置しておりますひなぎく学級は、長年、不登校生徒のための通級指導学級として、保護者の皆様の御理解をいただきながら、生徒一人一人に寄り添い、在籍校復帰や社会適応を目指した取組を進めてまいりました。不登校児童生徒の置かれた状況や課題はそれぞれ異なっており、一人一人の課題に対応したきめ細やかな支援を提供していく必要があると認識しております。

 教育委員会では、不登校の子どもたちには従来のほっとスクールに加えてより多様な選択肢が必要であると考えており、通常の授業への参加は難しいものの学習意欲の高い子どもたちに、それぞれに応じた学習や支援を提供する不登校特例校分教室型の設置に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。今まで培ってきたひなぎく学級での実績を生かし、不登校の子どもたちの視点に立った学級運営となるようしっかりと取り組んでまいります。

 以上でございます。

長岡 高齢福祉部長

  私からは、介護人材の確保につきまして、三点御答弁申し上げます。

 まず、開設後数年経てもまだ満床にできていない特養ホームの対策についてです。

 平成二十九年度に開設いたしました施設につきましては、介護人材の確保が進み、八月末現在で満床となっております。同様に、平成三十年度に開設した施設につきましては、現段階では入所率が八割強となっておりますが、運営体制が整ったことから、近日中に全ユニットをオープンする見込みとのことです。

 介護人材の確保につきましては、急速な高齢化による介護サービス需要の増大と、生産年齢人口の減少の影響、介護職の魅力などが正しく伝え切れていないこと、また、特に今般は新型コロナウイルスの影響もあり、多くの施設でマンパワーが不足ぎみになっておる状況でございます。

 区といたしましては、整備した施設が有効に機能するよう、採用活動への支援等を行うとともに、早期にユニットオープンを求めてきたところでございます。特別養護老人ホームは、介護が必要になっても安心して生活できる場として今後とも重要な役割を担う施設であり、介護職員不足によりその機能が損なわれることがないよう、引き続き様々な観点から必要な支援を行ってまいります。

 次に、人材確保のための生活支援についてです。

 区では、今年度の新たな取組といたしまして、特別養護老人ホーム介護職員宿舎借上げ支援事業を開始いたしました。補助対象者や補助金額の設定に当たり、施設長会の御意見も伺い、都の事業の対象にならない職種にも拡充をしたところでございます。また、昨年十月に導入された介護職員等特定処遇改善加算をはじめとした処遇改善に関する加算につきましては、区としても、加算要件である職場環境等要件が取得できるよう支援をしておるところでございます。

 現在、総合的な介護人材対策を推進するため、昨年度実施いたしました介護人材ワーキンググループの強化に向けた準備を進めておりますので、介護職の魅力向上や人材不足の時代に即した働きやすい職場環境等について御議論をいただきながら、さらなる支援策を検討してまいります。

 最後に、外国人人材の活用についてお答えいたします。

 区内で働く外国人の介護従事者の方々が誇りを持って働き、人権や労働条件が守られる、地域に定着していくことは、重要な課題であると認識しております。国は、介護現場で働く外国人の日本語能力向上を目的としたウェブコンテンツによる学習支援や必要な専門知識を学ぶ研修等を行っているほか、都では、介護事業者に対し、外国人受入れの環境整備支援を行っております。

 区におきましても、在住外国人の生活支援の一つといたしまして、外国人日本語教室を実施しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響で休止しております集団指導における法令の周知等にも工夫をして取り組んでいるところでございます。今後も、外国人の方が、人権等が守られ、孤立せずに勉強し、働くことができるよう、相談の場や交流の場など、日常生活面における支援や研修等について、関係所管課や介護事業所と相談連携して取り組んでまいります。

 以上です。

田中 経済産業部長

 私からは、産業振興基本条例関連、三点御答弁いたします。

 産業振興基本条例の見直しについては、新型コロナウイルス感染症の地域経済への影響など、昨年とは劇的に変わってしまった世の中の実態を踏まえた検討が必要であることから、検討期間を八か月延長したところです。新型コロナウイルス感染症は、区内事業者の経営に大きな影響や多様な変化を及ぼしており、例えば、リーマンショック時には融資あっせんへの申込みが三年間で約六千件であったところ、今回の融資あっせんへの申込みは、四月からの五か月間で既に三千五百件を超えています。この内容につきまして、どのような業種でどの程度の影響が生じているかなどの分析を進めているところです。

 また、国や都、民間企業などが行っている各種調査分析も活用するとともに、事業者に生じた多様な変化を把握することも重要と考えております。具体的には、コロナ禍において、早期に業態転換を図ったり、対策を講じたことで事業の拡大につなげていった前向きな事例の把握にも努めることで、多面的に状況の把握を図ってまいります。今後も、区内事業者の経営状況や消費動向等の実態把握に努め、必要な調査分析を行い、産業振興基本条例の見直しの検討に生かしていきたいと考えています。

 次に、中小企業や個店の位置づけについてです。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、区民生活を支える区内産業への支援として、個人事業主や小規模企業など、区内事業者を対象に業態転換及び新ビジネス創出支援やクラウドファンディング支援、区内飲食店の情報発信支援として、「世田谷ライフ+」を発行するなどの取組を行ってきました。産業振興基本条例の見直しに当たり、これまで区が行ってきた取組や、中小企業基本法及び小規模企業振興基本法の趣旨を踏まえ、検討会議において各委員の意見をお聞きしながら、条例の内容、表現、文言について検討してまいります。

 次に、農業やSDGsの視点についてです。新鮮で安心な農産物の供給に加え、都市部における緑地空間としての環境保全など、多面的な機能を有する都市農業・農地は、区において貴重な存在であり、これまで農業振興計画などにより支援をしてまいりました。SDGsの考え方を条例に位置づけるべきとの御提案につきましては、農業はもちろんのこと、他の全産業につきましてもそのような視点は必要なものと考えております。今後の条例検討会議の中で、御意見をいただきながら、条例への反映のさせ方などを検討してまいります。

 私からは以上です。

皆川 烏山総合支所長

 私からは、千歳烏山駅周辺地区まちづくりについて、二点御答弁いたします。

 まず初めに、説明会で出された意見への対応についてでございます。

 千歳烏山駅周辺では京王線連続立体交差事業などを契機としたまちづくりを進めるため、地域住民の皆様や商店街の方々と意見交換を重ね、地区計画、地区街づくり計画の素案をまとめております。本年七月には説明会を開催し、参加者八十三名、ユーチューブ動画の閲覧回数は三百八十回を超え、多くの皆様に御覧いただき、様々な御意見をいただいたところでございます。

 御意見の中には、安全な歩行者空間の確保やにぎわいの創出など、まちづくりへの期待の声をいただいております。一方で、事業などによって町のたたずまいが変化することについて、不安の声もございました。こうした声にお応えし、理解を得て着実にまちづくりを進めていくことが大変重要であると認識しております。引き続き分かりやすいニュースの発行や情報コーナー等を活用した情報発信、ホームページを活用した動画配信など、積極的に情報を発信するとともに、工夫を凝らしながら地域住民の皆様に丁寧に説明し、令和三年度早々の地区計画等の策定に向け取り組んでまいります。

 続きまして、三軒茶屋のまちづくりのようにワークショップなどを取り入れたらどうかということについてお答えいたします。

 三軒茶屋駅周辺では、区民、事業者などの様々な主体が連携したまちづくりを進めるため、まちづくり会議を設置し、ワークショップを行うなど、まちづくりへの関心を広げていく取組を進めております。一方、千歳烏山駅周辺地区では、街づくり協議会からの地区街づくり計画原案の提案を踏まえ、地域住民の皆様や商店街の方々と意見交換を重ね、地区計画等の策定に向けて現在取り組んできているところでございます。

 本地区のまちづくりの目標である人々が集う魅力あふれる町、これを築いていくためには、地区計画等によるまちづくりに加え、地域住民、商店街、区が連携し、町に訪れる人を引きつけ、エリアの価値や魅力を高めていくさらなる取組が必要であると考えております。現在、千歳烏山商店街連合会と区の街づくり連絡会を立ち上げ、情報共有や町のルールなど、将来の町の在り方について意見交換を行っております。

 区といたしましては、こうした取組をさらに発展させ、御指摘の三軒茶屋駅周辺や小田急線地下化に伴うまちづくりの事例も参考にしながら、千歳烏山駅周辺の住民参加のまちづくりに取り組んでまいります。

 以上でございます。

たかじょう訓子 議員

 御答弁ありがとうございます。千歳烏山駅周辺のまちづくりについてですけれども、本当に多くの方が参加されて、あとユーチューブなども、説明会に来られなかった方も参加されたと。こうした区の工夫を大変すばらしいと、評価したいというふうに思います。

 今後、いろいろな方々の声を聞いて主体的につくっていくまちづくり、住民と一緒につくっていくということをぜひ進めていただきたいと思っております。

 以上で質問を終わります。

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